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バラキン雑蚘

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2009/04/19

Author: ebara (5:22 pm)
以䞋は08.11月の研究䌚での報告を文字起ししおもらったものです。機関玙『コモンズ』に掲茉されたした。


 この報告は、『情況』09幎1・2月号に寄皿した「投機・信甚資本䞻矩の原理」に基づいおその解説を詊みたものです。ぜひ原文を参照䞋さい。たたこの論文では新たな問題提起をするず共に、共同しお研究するためのプランも曞きたした長いので次の蚘事にしおいたす。皆さんの共同研究ぞの参画を期埅しおいたす。抎原 均
     
投機・信甚資本䞻矩の原理

 幎の倏にアメリカのサブプラむム問題が、ペヌロッパたで波及しお、これは䞖界恐慌になるずいうこずで、僕らは、生きおいるうちに゜連の厩壊ずいう歎史的事件を目撃し、のみならず䞖界恐慌たで䜓隓できお、歎史はすごいサヌビスをしおくれおいる、すごいこずだな・・・・そんなこず蚀っおいたらすっおんおんになった人には怒られそうですが、そんな気持ちでいたした。
 実は僕は䞃幎間ほど監獄に入っおたしお、出おきた時信甚論の研究䌚を京郜で行いたした。その時から基本的に珟圚の経枈は・・・・・珟実資本ず架空資本ずいう蚀葉が今では垞識になっおしたいたしが、・・・・・どう芋おも架空資本のほうが珟実資本に勝っおしたうずいう事態があるのではないかず気づきたしお、その時以来、このぞんのずころを䜕ずか信甚論の研究ずしおたずめたいず思っおいたした。
 信甚資本ずいうこずで、もう3幎ほど前になりたすが、雑誌『情況』2006幎11・12月号に「信甚資本䞻矩ず䟡倀圢態論」を曞かせおもらいたした。そこでそれたでの経過ずいうこずをたずめおいるのですけれども、08幎になっお、いよいよ恐慌がきたずいうこずで、これたで考えおいたこずが、ぱっずフォヌカスが結びたしお、それで曞き䞋ろしたずいうのがこの『ASSB』誌に茉せおいたす「投機・信甚資本䞻矩の原理」です。その論文の「信甚資本ずは䜕か」ずいうずころから始めたいず思いたす。

信甚資本ずは䜕か
 「信甚資本」ずいう蚀葉に぀いおは、マルクスは『資本論』第䞉巻第五線利子生み資本論の第䞉二章のなかで述べおいたす。それはどういうこずかずいうず、他人のお金を䜿っお投機しおいる資本のこずで、珟圚なら、たずえばミュヌチャルファンドやヘッゞファンドずいったたぐいのものを、マルクスは信甚資本ず述べおいたす。利子生み資本ずいうのは、マルクスによれば、貚幣そしお資本が商品化したずいうのがその本質です。
 お枡ししたした4のプリントにありたす『資本論』党䞉巻の目次を芋おいただきたいのです。そのなかの第䞀郚はご存知のように商品から始たるのですが、その商品から貚幣が生じるず、その貚幣が資本に転化し、そしおその資本が絶察的剰䜙䟡倀の生産、そしお盞察的剰䜙䟡倀の生産ずいう圢で剰䜙䟡倀を生産し、䞀぀の埪環をなしおいる。その埪環が、流通があり、その総過皋がありずいうふうになっおたしお、その総過皋のずころで資本の商品化が出来お、それが第䞉郚第五線「利子生み資本」で述べられおいるこずですね。そしお、その利子生み資本が架空資本化しおいくずいう次の運動をするんです。僕はこの20幎間資本論䜓系の延長䞊で、虚の経枈である架空資本のほうが、実の経枈を滅がしおしたうような力関係がどうしお生たれるのかずいうこずを䞀生懞呜に考えおいたのですけども、10幎前ぐらいにそのように考えおいおはダメじゃないかず考えたした。むしろ原理ずしおも新しいものを぀くっおいかないず今の経枈の状態は解けないのじゃないかず考えたのです。それで、信甚資本ず蚀う抂念芏定を資本論も䜿っおいるのでそこから着想したのです。信甚資本ず蚀うのは䜕かずいうこずですけども、いたの金融垂堎でのプレむダヌは、銀行、蚌刞䌚瀟、幎金基金、保険䌚瀟、投資ファンド、ヘッゞファンドですね。圌らが経枈に察しお倧きな圱響力をもっおいるずいうこずですね。これらの資本家は他人のお金を珟実資本に投資するのではなく、金融資産の売買に向けるこずで、投機資本ず化しおいたす。
 普通は金融資本ずいうのはお金をファむナンスしおあげるずいうこずですから、経営したいけれどもお金がないずいう資本家にお金を貞しお䞊げお、借りた人が事業家ずしおやっおいくずいうのが金融なんですけども、そうではなくお人から集めた借りたお金で投機をしお儲けおいくずいうパタヌンですね。これが、䞻流になっおしたった資本䞻矩を投機・信甚資本䞻矩ず名づけようずいうのが僕の提案なんです。
 「マルクスは他人のお金で投機を行う資本、投機で資本蓄積を行う資本を『信甚資本』ず呌んだ」、これにはバむアスがかかっおいたす。マルクスは「信甚資本」ず蚀う蚀葉を䜿いたしたけども、他人の資本でやっおいるずいうこずは蚀っおいるんですけども、投機で資本蓄積を行うずいうこずたでは蚀っおいない。でもそこたで行かなければいけないのではないかず思うのです。
「圌らが売買しおいるものは、金融資産株匏、瀟債、囜債、消費者の債務蚌曞―サブプラむムロヌンがそうですね―倖囜為替など」ですけども、これらの金融資産ずいうものは䞀般商品に比べお性栌が違うのですね。䟋えば、がピンチで囜家にお金をカンパしろず蚀っおたすけども、が䜜った自動車は商品亀換によっお消費者の手に枡りたすが、その時には等䟡の亀換が成立しおいたす。同じ商品でも金融商品の本質が䜕かずいったら、将来の利益に察する請求暩なんですね。株匏がそうですね。株匏䌚瀟を䜜っお株䞻になっおいるずいうこずは、その䌚瀟が将来に䞊げる利益に察する配圓を受け取れるずいうこずですね。その配圓が定期的に入っおくるず芋立おたら、それを利子ず看做しお資本還元するこずで金融資産の䟡倀、䟡栌が決たっおいくずいう原理があるんですけども、だから、金融資産の䟡倀の実䜓は劎働ではないずいうこずですよね。いたから20幎前ぐらいに䟡倀の実䜓は劎働ではない、ずいう説が流行ったのですけども、よく考えたら、すでにその時に金融資産の取匕高のほうが䞀般商品の取匕高よりも倚かったんですよね。その実態に幻惑されお、䟡倀の実䜓が劎働ではないなんお蚀うんですね。しかし䞀般商品の䟡倀の実䜓は劎働であるわけです。ケむンズでもそうみおいたす。実際みんなサブプラむムで損したものだから、どこもお金お金ず蚀っおいお、しかし、金融資産の䟡倀の実䜓は䜕もない、架空なんですね。だからこんなに高かったず思ったらこんなに安くなっお、株匏時䟡総額が䜕兆ドルず枛ったずいうんですけどね・・・・・枛っおどこぞいったんや・・・・ず思うんですけどね。株䟡が乱高䞋するこずでダメヌゞは実の経枈に出るんですけども、実の経枈がすぐに止たるずいうものでもない。その意味では盞察的に関係のない䞖界なんですよね。そんなずころをどう原理的に䜍眮づけるかずいうこずで、架空資本の本質は、「利子生み資本の圢態すらずらない」、ずいうこずなんです。これが新しい提案です。
 「利子生み資本」ずいうのは、先ほど説明したしたように、お金は持たないけれども事業を行いたいずいう機胜資本家が、お金は持っおいるけれど事業は自分ではやりたくない貚幣資本家からお金を借りるずいう時の貞借関係を、貚幣の商品化ずか、資本の商品化ず名づけお、借りたお金で事業をやっお利子を払うずいう圢で埪環する資本を、マルクスは利子生み資本ず名づけたんです。これが利子生み資本の抂念ですね。金融資産たずえば株ですね、最初その株が売り出されたずき買えば、その資金は珟実資本に投䞋されおいるんですね。ずころがその株が高くなったからずいっお転売され流通しおゆくその時の転売される株は、金融資産ではありたすけれども基本的には架空資本であるずマルクスが蚀っおいるし、皆さんそう蚀うわけです。なんで架空ず蚀うのかはっきりしなかったんですけども、それは利子生み資本ずいう圢すらずっおいないずいう意味で架空だず僕は解釈したした。それが僕の新しい提案です。それが劥圓かどうかずいうこずをここで論議しおいきたい。
 マルクスが資本論で次のように蚀っおいるのでちょっず読み䞊げたす。
 「貚幣資本が存圚する圢態が、ただ貚幣の圢態だけだず仮定しおもこの貚幣資本の倧きな䞀郚分は、぀ねに必然的に単に架空なものである。すなわち䟡倀ぞの暩限である。・・・しかし、それが貚幣資本に転化しお、同じ貚幣が繰り返し貚幣資本を衚す限りでは、明らかに、それはただ䞀぀の点で金属貚幣ずしお存圚するだけであっお、他のすべおの点では、それはただ資本ぞの請求暩ず蚀う圢で存圚するだけである。これらの請求暩の蓄積は、前提によれば、珟実の蓄積から、すなわち商品資本等々の䟡倀が貚幣に転化するこずから生じる。ずはいえ、これらの請求暩そのものの蓄積は、それの源泉である珟実の蓄積ずも違うし、貚幣の貞出によっお媒介される将来の蓄積生産過皋ずも異なるのである。」『資本論』第䞉巻、原兞、旧版5534、党集版5245頁、匕甚はマルクスの手皿で蚳文は倧谷蚳『経枈志林』64å·»4号、269頁
 このように蚀っおいるから架空資本は利子生み資本ずは違うず蚀っおいるず読めたす。僕の蚀葉で翻蚳したらね。利子生み資本の圢ずいうのはいったん物を䜜るために生産に投䞋されお、回収されるずいう珟実資本の埪環を経おいる、そういうのが利子生み資本ですけども、そういう経路を土台ずしお、架空資本ず蚀う新しい資本の圢を確立しお、珟実の蓄積ずは異なる領域で埘埊しおいるんですね。共産䞻矩が埘埊したずいう奎ですね。いたや架空資本が埘埊しおいるんですね。

、信甚資本が売買する金融資産は架空資本
 先ほども説明したしたけども、「今日の瀟䌚では、定期的収入をもたらす収入源はその収入を利子ず芋立おお資本還元し、資本の額を蚈算するこずで、その収入源は資本ずみなされる擬制資本。たずえば囜債は囜の借金であっお、囜債を売ったお金が資本ずしお投䞋されおいるわけではない。だから利子生み資本貞付けたお金が珟実資本に投䞋される圢態ずしおの機胜は持っおはいない。にもかかわらず資本ずしお扱われるが、このような資本を架空資本ず名づける。架空ずいう意味は、珟実資本に投資されないずいうこずを指し、利子生み資本の抂念からすれば架空のものずいう意味である。」、こういう意味に解釈したした。これが新しい提起です。
 「株匏も最初の賌入者の資金は珟実資本ぞず投資されるが、しかしその株刞が次々ず売買されお持ち手を換えるずきにはそれは架空資本ずなっおいる。今日売買されおいる金融資産はほずんどが架空資本である。」
 僕は20幎前から考えおきおよく分からなかったこず、それが、芁は段階芏定をしたい・・・・これは宇野掟の圱響かもしれないですけども・・・・レヌニンが自由䞻矩から独占が起こっお、垝囜䞻矩段階にいたるずいうように段階芏定をしたこずになぞらえたい、ずいうこずなんです。独占資本の実䜓が金融資本で、金融資本が垝囜䞻矩の経枈的基瀎である、ずいうのは良くわかるんですけども、それでいくずはたしお金融資本ずいうのは今あるのかずいうこずなんです。いたの銀行は金融はしない、貞し剥がしはしたすけど、金融機関の金融機胜が麻痺しおいる。銀行でも蚌刞䌚瀟でも投機で皌いでいるわけです。ずいうこずは、投機が資本蓄積の様匏ずしお定着しおいるのがこの数幎間・・・・いた恐慌で朰れおいたすけど・・・・この数幎間こうだったずいうこずなんです。
 「信甚資本は架空資本を投機的に取匕するこずで蓄積しお行く。それはバブルを圢成し、バブルがはじければ金融資産の時䟡総額は暎萜するが、しかしこれは珟実資本にずっおは盎接のかかわりがない。実䜓経枈の動向ずは無関係に、バブルずその収瞮、これを繰り返すこずは投機・信甚資本䞻矩の宿呜である。」
 歎史的に䜕床もこういうこずはありたした。ブラックマンデヌずか、過去のニュヌペヌクの株匏の䞋萜ずいうこずがありたした。それはすぐに回埩しおいるんですね。今床もそういうこずではないかずいう甘い期埅もあったんですけども、そうはなかなかいかなくお今床はなかなか深刻な事態になっおいるんですけども・・・・。
 「信甚資本の蓄積様匏は資本垂堎における投機であり、新しい資本䞻矩の段階は、投機・信甚資本䞻矩ず呌ぶほかはない。぀たり、資本垂堎における架空資本の売買の䞀般化は、支配的な資本が利子生み資本ずしおあった金融資本䞻矩から、信甚資本を支配的な資本ずする、投機・信甚資本䞻矩ぞの移行をもたらしたのである。」
 金融資本は、独占ず銀行ずの癒着、倧䌁業ず銀行ずの癒着ですから、その本質は利子生み資本なんです。これは、ちゃんず䌁業に投䞋されおいるわけです。ずころが、投資銀行の投資は䌁業に党然投資されおいない。いたや朰れおしたっおいたすけどね。商業銀行が䌁業に投資しないからアメリカの自動車メヌカヌのビッグスリヌが朰れかけお囜家にお金を頂戎、ず蚀わざるを埗ないずいう事態になっおいるずいうこずなんです。この事態をしっかり芋おいただいお、それは資本䞻矩そのものが、投機・信甚資本䞻矩に到っおいるずいう新しい段階なんだずいうのが二぀目の提案なんです。

投機・信甚資本䞻矩の背景、䞖界単䞀の資本垂堎の圢成
 どうしおこういうこずに成っおしたったのかずいう原因なんですけども、それはたず䞀぀目に、貞付可胜な貚幣資本が膚倧に蓄積したずいうこずなんですね。「劎働者の幎金や保険も幎金基金や保険䌚瀟に集められ、巚倧な貞付可胜な貚幣資本ずなる」、ずいうこずなんですね。幎金基金ずいうものは膚倧なもので、21䞖玀にはいっおこれが投機を始めたんですけども。ITバブルが厩壊した時これは䜕ずかしなければ、ずいうこずで、金融の蚌刞化ずいうこずをやっお、それでサブプラむムができたずいうこずになっおたす。そういうこずやれるずいうのはやっぱり䜙剰資金があるからなんですね。本来銀行に集䞭された預金ずいうものは䌁業に貞し付けられるずいうこずだったんですけども、䌁業自䜓が䜙剰資金を持っおしたったずいうこずで、銀行が倧䌁業にお金を貞す必芁がなくなっおしたった。倧䌁業自身も蚌刞垂堎で資金調達するずいうこずになっおしたった。そうするず銀行は架空資本の投機のずころで利鞘を皌ぐずころぞ行かざるを埗ない、ずいうこずになっおいる。劎働者の幎金や保険それにオむルマネヌですね、こういうお金が溜たっおしたう。あずはアメリカずの貿易で䞭囜ず日本にドルが䞀杯溜たるずいうこずが起こっおきたずいうこずが䞀぀です。
 もう䞀぀は、「䞖界単䞀の資本垂堎の圢成」ですね。これはどういうこずかずいうず、埓来金融垂堎はロンドンにしろニュヌペヌクにしろ空いおいる時間ずいうのは限られおいお、地域的にも統䞀した圢で取匕するずいうのは難しく、分断されおいたんです。ちょっず前たではファックスずかテレックスが通信手段だったんですけども80幎代からの技術によるオンラむン化によっお、日本の銀行でも郜垂銀行ず地方の銀行の取匕がオンラむンでできるようになった。昔は窓口では郜垂銀行のお金が地方銀行では䞋ろせないずいうこずがあったんですけども、それがいたや劎金でも信甚組合でもどこでも出来るようになっおしたった。これが、日銀ネットずいうオンラむンの姿でありたすけども、これが䞖界䞭の銀行・金融垂堎を結び぀けたわけです。そうするず囜際金融垂堎は䞖界単䞀の資本垂堎ずしおの機胜を持぀こずになったのではないかず思うのです。こういうこずが起こった結果ずしお非垞に安い倀段で投機取匕ができるこずになった。投機ずいうのはいたたでずおもお金がかかるものだった。だから倧金持ちしかできるものでしかなかった。どんどん安くできるものだから投資信蚗みたいな商品で高霢者に売り぀けるずいうこずも可胜になっおきた。これはもう党郚金融でなくお投機なんですね。

投機・信甚資本䞻矩段階
 「この貞付可胜な貚幣資本の蓄積は珟実資本の蓄積からは盞察的に独立しおいるし、たた貞付可胜な貚幣資本の運甚に぀いおは架空資本の売買ずいう投機に向かいやすい。貞付け可胜な貚幣資本の異垞な芏暡での蓄積、オンラむン化による䞖界単䞀の資本垂堎の成立、これらを土台にしお、金融資本は投機・信甚資本ぞず倉質した。金融機関が金融をしなくなり、れロ金利で預金者を苊しめ、の瞮小を行っただけでなく、銀行の貞し枋り、産業ぞの血液の提䟛をせず、投資信蚗を売りたくる、等々金融業ず蚌刞業の垣根も取り払われ、巚倧金融機関や機関投資家、さらにはさたざたなファンドは投機取匕で利益を出すようになった。投機が資本の蓄積様匏ずなり、そしおこの投機ずいう信甚資本の蓄積様匏が支配的ずなり、瀟䌚の隅々から富を吞い䞊げおいる。」
「金融資本ず違っお、投機・信甚資本は産業や消費者から搟り取れるだけ搟り取る、トヌタル・キャピタリズムずしお特城付けられる。」こういう芳点でいち早く䞻匵したのがゞャン・ノェむルりッドずいうフラン人で、ミッテランの時の金融担圓者なんです。ミッテランの敗れた埌は民間の金融機関にいた人なんです。トヌタル・キャピタリズム、この意味が、金融はしおいない、ファむナンスはしおいない、で䜕をしおいるのかずいえば、投機をしおいる。トヌタルずいう蚀葉の意味は、ファむナンスでしたら、利子生み資本は株匏䌚瀟から富を吞い䞊げるだけなんです。ずころが投機をするずいうこずは、瀟䌚党䜓から富を吞い䞊げるんです。その意味で圌は「トヌタル・キャピタリズム」ず名づけたんですけども、ずころが蚳者がそれを「金融資本」ず蚳しおしたっお、もうどうしようもない。
 「資本垂堎は基本的には無法地垯である。詐欺たがいの取匕が垂堎に悪圱響を䞎えるず、そのあずから叞盎が芏制に乗り出す。このようないたちごっこが繰り返されおきた。投機・信甚資本䞻矩こそが敵であり、これず闘うには投機垂堎にお金を吞い䞊げられないようにすればいい。䞖界恐慌における経枈政策の基本はここに眮かれなければならない。」
 投機が䜕で儲かるかずいったら、投機垂堎がずヌず膚らんでいっおたられロ・サムゲヌムではあるんだけれども誰も損をしないずいう可胜性がありたすよね。損するそういう確率が䜎いものです。それをやりたいのですね。投機垂堎にどんどんお金を吞い䞊げたいのですね。だから日本でも「貯蓄から投資ぞ」ずいうこずを蚀い、預金を取り厩しお、投資信蚗を買いなさいずいうこずを蚀っおる。
 預金ずいうのは元本ずもに保蚌されおいるんだけれども、投資信蚗は自己責任で、こうなりたしたから貎方の分はダメになりたした、ずいうこずでもやっおいける。こういうこずは、倉質した資本䞻矩が成熟しおいお、この間の恐慌で死に絶えた振りをしおいたすけれども、たた埩掻するず思うのです。絶察埩掻するでしょう。ずいうのも、金融垂堎があれば必ず投機が発生し、䜙剰な貞し付け可胜な貚幣資本がだぶ぀いおいたすから、必ず埩掻したす。この機䌚に培底しお、投機・信甚資本䞻矩の構造を明らかにした䞊で、それが再生しないような政策を提案しなければいけないず思っおいたす。トヌピン皎なども有効なやり方ずは思っおいたすけども。
2009/04/19

Author: ebara (5:09 pm)
『情況』09幎1・2号に掲茉された、「投機・信甚資本䞻矩の原理」の前半は。9月21日付バラキン雑蚘に掲茉したしたが、その続きをUPしたす。

投機・信甚資本䞻矩の原理䞋

第䞉章 今埌の研究課題

信甚資本䞻矩ずいう発想に぀いお

私の問題意識
 私の問題意識はこのようにこれたでの定説からかけ離れおいるので、なかなか理解されないかもしれない。ケむンズも䞀般理論を公衚するに圓たり、むンナヌサヌクルでの議論で最初の原皿はほずんど曞き換えられたずいっおいる。私は孊䌚に所属しおいるわけでもないし、研究機関に所属しおいるわけでもないので、問題意識を事前に議論する堎を持぀こずができなかった。しかし『情況』誌に公開するこずで、倚少の議論が起きるこずを期埅しおいる。その誘い氎ずしお、今埌の研究課題に぀いおレゞュメ颚に曞き留めおおくこずにする。

金融資本は解消したのか
 『資本論』は珟実資本の分析が䞭心であるが、しかし、第䞉郚、第五線で架空資本の分析を詊みおいる。『金融資本論』は信甚ず架空資本の運動を分析したが、それを産業における独占䜓圢成金融資本ずは、「銀行が凊理し産業資本家が充甚する資本である。」『金融資本論』、囜民文庫、䞋、89頁の分析ぞず収斂させた。぀たり圓時のドむツの珟実からの抜象ずしお、貚幣資本を蓄積した銀行は、それを産業に投䞋し、産業を管理するこずが䞭心的な業務になるずした。
 しかし、1980幎代以降巚倧商業銀行は倚囜籍化し、投機ディヌリングで利益を出すようになり、他方倧䌁業も自己資本を増倧させお銀行離れをし、たた盎接債刞垂堎から資金を調達するようになった。銀行ず産業ずの癒着は貚幣取扱い業務や債刞発行業務以倖では芋られなくなる。
 ヒルファヌでリングやレヌニンが定矩したような金融資本は、今日存圚するかしないのか。これは実蚌的研究によっお解明されるべき課題である。

投機で資本蓄積する資本家の支配はどのようにしお圢成されたか
 埓来投機は資本蓄積の王道ずはみなされおはいなかった。しかし今日では、投資ファンドや投資銀行ずいった本来の投機的資本家のみならず、商業銀行も投機的取匕で利益を䞊げるようになり、産業に察する投機資本家の支配が圢成された。
 こうしお、金融資本の蓄積様匏ずは異なる独自の蓄積様匏がどのように圢成されおいるか、ずいうこずが実蚌的に研究されねばならない課題ずなった。投機が独自の蓄積様匏ずなりうる条件を考えお芋るず、技術的条件は、オンラむンシステムによる䞖界単䞀の資本垂堎の圢成であろう。これによっお投機取匕に掛かる費甚が䜎枛しれロに近くなった。経枈的条件は、資本垂堎が垞に拡倧するこずであり、そのための方法を開拓した。アメリカの赀字による䞖界䞭からの資本の招き寄せ、コヌポレヌト・ガバナンス、金融の蚌刞化、倧衆の投機垂堎ぞの参画の促進のための皮々の金融商品の開発による貯蓄から投資ぞ、など。むデオロギヌ的には劎働䟡倀説の攟擲ずお金にお金を生たせるずいう利殖芳を、䞇人に勧める新自由䞻矩の台頭である。

信甚商品ず信甚資本の䜍眮をどのように定めるか
 『資本論』第䞀巻で解明された、商品から貚幣が圢成され、貚幣が資本に転化し、資本が生産されお、商品に戻る、ずいう珟実資本の埪環ずは異なる架空資本の埪環様匏はいかなるものか。商品からの貚幣の生成、貚幣の商品化、利子生み資本の圢成、利子生み資本の金融資産化、金融資産の流動化、架空資本の圢成、これをどのように叙述するべきか。

信甚論の諞問題ず信甚商品、信甚資本の解明のための課題

銀行信甚論の再怜蚎
 䞀般的には商業信甚から銀行信甚ぞず䞊向する。商業手圢の銀行による割匕、銀行刞の発行に銀行信甚の本質を芋る。
 貚幣取扱業、預金、信甚創造、の系列の無芖があった。これは支払決枈システムを圢成し信甚制床の土台ずなる。この支払決枈システムは、私的䌁業である銀行の私的なむンフラであるが、しかしそれは同時に経枈における公的なむンフラであり、今日の䞖界金融恐慌で、これが厩れようずしおいるので、各囜は巚倧な資本泚入を行っおいるのである。
 1929幎恐慌では、この公的むンフラが、取り付け隒ぎによる銀行の倒産によっお砎壊され、それによっお産業恐慌を激化させるこずになった。この蜍を螏たないようにず、各囜政府は支払決枈システムの防衛のために、私的商業銀行に膚倧な公的資金を泚入せざるを埗なくなっおいるのである。
 銀行の支払決枈システムの公的性栌を理解せずには公的資金の投入ずいうこずに぀いお理解はできない。銀行論の再怜蚎が必芁である。

信甚貚幣論の再怜蚎
 䞀般的には信甚貚幣ずしおの銀行刞は、貚幣金の代替物ずみなされおきた。金亀換停止䞍換玙幣埌はその流通根拠に、それを信甚しお受け取るから、だずか、囜家玙幣化しお匷制通甚力を付されおいるからずか蚀われおいる。金廃貚論も登堎した。
 信甚貚幣の倪宗は預金通貚である。倧口の取匕はこれで行われおいる。小口の取匕劎賃の支払などは銀行刞でなされおいる。今日の銀行刞の発刞のシステムからすれば、日銀刞は日銀の䞀芧払いの債務蚌曞であり、その本質は預金蚌である。垂䞭銀行が日銀の圓座預金を匕き出すこずで日銀刞が発行されるケヌスから分かるように、日銀刞は垂䞭銀行の日銀に察する預金蚌であり、これが「玙切れ」が流通する根拠である。巷で論議されおいる日銀刞そのものの䟡倀玙代ず印刷費が問題ではなく、その玙切れに曞かれおいる額面が問題である。手圢の䟡倀は額面によるのであり、その蚌曞の制䜜費は無関係である。信甚貚幣のうちで特に目に付く銀行刞に぀いお、それを預金蚌ずしおみるための定説が圢成されるべきである。

通貚ず金融資産の違い
 信甚貚幣のうち通貚ずしお蚈算されるものは、銀行刞だけでなく、預金通貚も含たれる。いわゆるマネヌサプラむず呌ばれおいるものである。通垞定期預金は流動性がないずいうこずでMからは省かれおM+CDずされおいる。同じく債務蚌曞である、株刞や囜債や瀟債などは金融資産であるが、通貚には入らない。これらは流動性はあるが商品亀換を媒介しないからだ。
 しかし金融資産は銀行刞ずは違っお、利子が぀き、これを資本還元した䟡栌で取匕される。金融資産の商品化は原初的な資本貚幣の商品化ずは違っお、利子生み資本の運動を䌎わず、その意味で架空資本ずなる。この架空資本の取匕が投機である。
 そこでの問題は、投機による金融資産の流動化によっお、金融資産をもマネヌサプラむに加えようずする動きがあるこずだ広矩流動性。しかし金融資産の䟡倀は今日のような危機の局面では乱高䞋しおいる。こんなものを通貚ずしお扱うこずは基本的には誀りであるこずを明確にしなければならない。

ドル危機論の再怜蚎
 アメリカ経枈に䜕かあるず、囜際通貚ドルの厩壊ずいうこずが話題ずなる。囜際通貚は通貚ずいう名称が付けられおいるが、䞀囜内の通貚ずは本質的に異なっおいる。各囜の貿易の䞍均衡によっお、民間が皌いだドルを政府が買い䞊げるこずによっお倖貚準備が圢成されるが、政府はこのドルをアメリカの囜債に投資しおいる。倖貚準備の内実が囜債であるから、それは通貚ではないこずになる。だから俗説のように、アメリカが貿易赀字でドルを増刷し、通貚が過剰ずなり、むンフレずなっお、ドル危機を招来しおアメリカがピンチになるずいうこずではなくお、アメリカ経枈の危機がドルの信任ずいう問題を匕き起こすのである。
 フリヌドマンは倉動盞堎制になるず、貿易差額は均衡するず考えたが『資本䞻矩ず自由』日経BP瀟、139頁、そうはならなかった。各囜通貚圓局の動きが勘定に入れられおはいなかったのだ。この問題をどのように取り䞊げ、たたアメリカの赀字をどのように評䟡するのか、改めお怜蚎すべき課題である。

金融垂堎論の再怜蚎
 80幎代から90幎代にかけおの囜際的な資金の流れの分析は、貿易差額がどのように付け回されおいるかずいう芳点からのもので、やはり珟実資本の偎からの資金圢成ずいう芋方にずらわれおいた。この珟実資本の運動から生み出されおきた貞付可胜な貚幣資本の蓄積が、どのようにしお投機ぞず向かうかに぀いおは、ブラックボックスであった。
 そもそも自由な個人が盞互に察面する垂堎ずいう抂念で、金融垂堎、商品垂堎、劎働垂堎をひずくくりにするこずが誀っおいる。フリヌドマンはすべおを自由垂堎ず芋、自由な個人の取匕ずみなす。そしおその特異な所有暩論で、土地の所有者には䞊空の飛行機の運航に぀いお拒吊できる可胜性を考え同曞、72頁、そしお同じように株匏の所有者は珟実の䌁業の財に察する所有暩を持぀ずみなしおいる同曞、252頁。このような考え方に぀いおの批刀が必芁である。
 商品垂堎は等䟡物の亀換であり、䜿甚䟡倀の持ち手亀代である。金融垂堎資本垂堎は将来の䟡倀請求暩の売買の堎であり、リスクの亀換である。劎働垂堎は、劎働力ずいう擬制的商品の売買の堎であり、階玚間の取匕である。これらを同じものぞず還元するこずぞの批刀が問われおいるずいえる。
 珟実資本が金融垂堎で資本調達をするずきには、珟実資本の調達が同時に将来の䟡倀請求暩の圢成ずいう圢をずり、架空資本の圢成ずなり、リスク亀換の堎を拡倧させる。぀たり金融垂堎は、資金の調達の堎だけでなく、架空資本の圢成ずその売買の堎、ずいう二重性を持぀のである。

信甚資本䞻矩ず政策提蚀

『資本論』䜓系ずの関係
 信甚資本論を『資本論』䜓系に組み蟌むこずには無理がある。『資本論』は基本的には珟実資本の運動を解明しおいる。したがっおそれを土台にしお、架空資本論ずしおの展開が問われおいる。
 貚幣資本の商品化、利子生み資本の成立、利子生み資本の金融資産化、金融資産の流動化、架空資本の圢成、ここたでは『資本論』䜓系で解明されおいる。
 これを信甚商品ず信甚資本の成立過皋ず抌さえお、信甚資本が珟実資本を支配するずいう転倒が起きるこずを明らかにするこずが必芁である。この転倒の分析が信甚資本の原理の解明ずなる。

架空資本による珟実資本の支配
 実よりも虚が優䜍に立぀基本的な原因は、物象化ず物象による人栌の意思支配のある。しかしこれだけでは実も蓋もない。
商品の二芁因をなす䟡倀ず䜿甚䟡倀を比范すれば、䜿甚䟡倀が実の䞖界に属し、䟡倀が虚の䞖界に属する。既に商品生産においお、䟡倀の増殖を目的ずしお䜿甚䟡倀が生産されるずいう転倒がある。珟実資本の生産過皋が䟡倀増殖を目指しおの䜿甚䟡倀の生産であるように、䟡倀増殖ずいうこずが資本の最高の呜題であるこず。それ自身で増殖する䟡倀ずしおの架空資本、ずいう圢態芏定が優䜍性の第䞀歩であろう。
 理念的には優䜍にある架空資本が、珟実的にも優䜍になれる諞条件の圢成に぀いお跡付けるこずが必芁である。それは、他人の資本で、なおか぀珟実の生産過皋を埪環させずに資本蓄積できる、信甚資本䞻矩の蓄積様匏の圢成ず投機資本家階玚の圢成、そしおその独自の階玚的利益の远求のための階玚闘争がなされおいるこずを提瀺するこずである。

政策提蚀に぀いお
これらの解明によっお、各囜政府はなぜ私的䌁業に公的資金を぀ぎ蟌たざるを埗ないのかの解明ず、新自由䞻矩が掚し進めた囜際䌚蚈基準が䌁業の䜓質を匱めたこずの解明が進むであろう。あず恐慌ず長期䞍況は資本䞻矩の䞍均等発展の垰結である。囜際協調が進められおいるが、匱い環はどこか、これも事態の進行によっお明らかずなるであろう。
 最埌に、投機・信甚資本䞻矩に぀いお、これたで述べた事柄を簡単にたずめおおこう。
 たず、今日の資本垂堎での䞻芁な取匕は投機取匕であり、その際、売買される金融資産は架空資本であっお、利子生み資本の運動圢態をずっおはいないこず、この認識から出発する。次に、銀行ず独占資本ずの癒着ずいう意味での金融資本は過去のものずなり、投機で資本蓄積する投機・信甚資本䞻矩が珟実資本を支配する時代が始たったこずを確認する。
 他人の資本で投機をする投機・信甚資本䞻矩は、その独自の資本蓄積運動の垰結ずしお、実䜓経枈ずは盞察的に独自に、資本垂堎でバブルずその収瞮ずいう事態を繰り返す。このような投機・信甚資本䞻矩の運動が、サブプラむム問題を契機に危機に陥り、䞖界金融恐慌を招き寄せたのである。投機は資本垂堎に䞍可避に取り付くものであり、これの芏制が政策提蚀の土台に眮かれなければならない。
2008/10/09

Author: ebara (9:40 pm)
この20幎間考えおきた信甚論が突然フォヌカスが合っおきたした。以䞋に掲茉するのがそれです。先に掲茉した政策提蚀に向けおの準備も、この原理からの発想です。そちらず合わせお怜蚎しおください。

投機・信甚資本䞻矩の原理

資本䞻矩の新しい段階ずしおの投機・信甚資本䞻矩

ドむツをモデルずした金融資本論
 以前からの垞識であるが、ヒルファヌディングの『金融資本論』はドむツをモデルずしたもので、むギリスやアメリカの独占資本はヒルファヌディングの理論では解明できないず蚀われおきた。実際倚囜籍䌁業をどのように䜍眮づけるかに぀いおは、定説は圢成されなかった。
呚知のように、レヌニンの『垝囜䞻矩論』もヒルファヌディングの『金融資本論』を土台ずしおおり、それに察する代案ずしお、自由貿易垝囜䞻矩論や、新怍民地䞻矩論が提起されたが、゜連厩壊以降のグロヌバリれヌションを捉える理論は未圢成であった。
 グロヌバリれヌションが新自由䞻矩ず絡めお理解され、新自由䞻矩の批刀がハヌノェむ『新自由䞻矩』䜜品瀟、『ニュヌむンペリアリズム』青朚曞店やゞャン・ペむルノァット『䞖界を壊す金融資本䞻矩』出版などによっおなされ始める䞭で、ドむツをモデルにした金融資本䞻矩論に代わる新たな䞖界資本䞻矩の把握が暡玢し始められるに至っおいる。レヌニンの段階論ずしおの垝囜䞻矩論を継承し぀぀も新たな段階芏定を行うべき時点が到来しおいる。

1929幎の䞖界恐慌
 アメリカの䜕人かの゚コノミストが珟圚の危機を100幎に䞀回、぀たり歎史䞊なかったような危機だず捉え始めおいる。実際に1929幎金融恐慌も今日の危機ず比范すれば児戯に等しいように芋える。1929幎金融恐慌に぀いおのノンフィクション『りォヌル街の厩壊』トマスモヌガン著、講談瀟孊術文庫を読めば、圓時の投機が珟圚の投機ず比べればただ子䟛っぜく、䞖界の金融垂堎に察する圱響もたいしたこずはなかったこずが分かる。ただ金融恐慌が盎ちに䞖界産業恐慌ぞず移行しお、倱業者の増倧を生み、瀟䌚問題を匕き起こしたずいう金融ず産業ずの぀ながりの点では、少し様盞が異なっおいる。もちろん珟圚の金融危機がい぀䞖界産業恐慌に移行しおもおかしくはないが。
 圓時はむギリスの金融垂堎に比べ、アメリカの金融垂堎は芏制がなく、投機家が株匏垂堎でバブルを挔出し、恐慌に至った。これを反省しお、銀行ず蚌刞䌚瀟を分離する、グラス・スティヌガル法で芏制がかかった。ケむンズも1936幎に出版した䞀般理論で、「金利生掻者の安楜死」を経枈政策ずしお考えた。ずころが珟圚の新自由䞻矩の理論的バックボヌンずなったフリヌドマンは29幎恐慌に察しお通説ずは党然別の総括を提起しおいた。

泚フリヌドマンの説
 フリヌドマンによれば、金融恐慌を悪化させ、䞖界恐慌ぞず転嫁させた原因は政府ず連邊準備制床の倱敗にある、ずいうもので、連邊準備制床は「緊急通貚印刷機」フリヌドマン『遞択の自由』日本経枈新聞瀟、122頁ずなるべきだったずいうのである。いた䞖界の䞭倮銀行はそのように振舞おうずしおいるが、その垰結はどうなるのだろうか。

戊埌の熱・冷戊䜓制
 さお、資本䞻矩の新たな段階芏定を行おうずする限りで、第二次䞖界倧戊埌の歎史的過皋を簡単に敎理しおおこう。東偎は䞭囜での毛沢東の勝利が倧きく、民族解攟戊争が激化した。熱戊から平和共存、冷戊ぞの以降埌、西偎は犏祉囜家䜓制をずり、産業資本が䞭心ずなっお経枈成長を成し遂げた。ケむンズが期埅したむンフレによる金利生掻者の安楜死が実珟した。囜連、の固定盞堎制、による自由貿易亀枉、䞖界銀行による開発融資これらが戊埌䞖界の枠組みであった。しかし、資本䞻矩の䞍均等発展の結果、70幎代に入っお、この枠組みに倉化が珟れた。

70幎代の倉化
 70幎代には独占資本による過剰生産ず石油茞出機構による原油倀䞊げに盎面し、経枈成長は西偎諞囜では停滞し、䞍況に盎面した。この時期に起きた倧きな倉化は、アメリカが䞖界貚幣地金の流出に察するドル防衛の措眮ずしお、金ドル亀換停止を行ったこずだった。これによっお、固定盞堎制は厩壊し、詊行錯誀のあず、倖囜為替垂堎は倉動盞堎制ぞず移行した。倖囜為替垂堎でデリバティブ金融掟生商品が登堎するずずもに、オむルマネヌが蓄積しその還流が課題ずなっおきた。

80幎代に新自由䞻矩が政暩を握る
 新自由䞻矩に぀いおのハヌノェむの問題提起は、支配階玚の偎からしかけられた階玚闘争ず芋るずころにあった。むデオロギヌ支配のために倧孊、研究機関、マスコミを買収し、すべおを垂堎の競争に任せる垂堎原理䞻矩ず個人的自由䞻矩、自己責任論を浞透させた結果、新自由䞻矩のむデオロギヌぞの支持を、貧乏くじを匕く偎の民衆からも取り付けるこずができた。こうしお80幎代前埌にむギリスではサッチャヌが、アメリカではレヌガンが新自由䞻矩的政治を開始するこずになる。
 あず芋逃せないのは、䞖界単䞀の資本垂堎の成立である。80幎代半ばに䞖界の金融垂堎がオンラむンで結ばれ、銀行もディヌリング投機取匕で利益を皌ぐようになった。80幎代末には日本は土地バブルを背景にしお䞀瞬間だが䞖界䞀の金融倧囜ずなるが、しかしすぐにアメリカずペヌロッパの連合で匕きずりおろされる。ただ日本ではこれによっお新自由䞻矩的政治の導入が遅れ、小泉改革を埅぀こずになる。

90幎代に投機・信甚資本䞻矩の成立
 䞖界単䞀の資本垂堎が成立するこずによっお、オむルマネヌ、幎金基金、保険基金、各囜の倖貚準備などの過剰な貚幣資本が資本垂堎での投機に向かうようになった。アメリカではむンフレを収束させお、金利生掻者投機家の時代が始たり、お金にお金を生たせる、お金を働かせるずいった投機ぞの勧誘が始たった。
 他人のお金を資本化する信甚資本が投機によっお増殖する時代が到来した。貯蓄から投資ぞ、を盞合蚀葉ずした投機・信甚資本䞻矩の段階が始たる。その結果、栌差拡倧が成長の条件ずなり、䞭囜やむンドなどの栌差を持った囜々が離陞を始めた。これは䞀時期に総䞭流化を実珟した日本型ずは異なる圢での離陞であった。

2000幎代は、バブルから恐慌ぞ、投機・信甚資本䞻矩の停滞ぞ
 バブルがはじけたあずもアメリカは、金融の蚌刞化で切り抜け、䜏宅バブルを挔出したが、これが07幎倏にサブプラむム問題ずしおペヌロッパから金融機関の砎綻が始たり、金融垂堎が䞍安定化し、株䟡の倧幅䞋萜が短機関に䜕床も匕き起こされるようになった。以降金融資産の䟡倀は継続的に暎萜し、金融機関は経営危機に盎面し、倒産が始たっおいる。公的資金の導入がなされ、たた巚倧䌁業も経営難に盎面しおいる。䞖界金融恐慌がこれたでなかったような芏暡で進行しおいる。このような珟状を的確に把握し、察策を提起できるような理論的裏づけに぀いお䞀緒に考えたい。

投機・信甚資本䞻矩の原理

信甚資本ずは䜕か
 珟圚の金融垂堎でのプレヌダヌは銀行、蚌刞䌚瀟、幎金基金、保険䌚瀟などの機関投資家、投資ファンドヘッゞファンドやミュヌチュアルファンドであり、圌らが経枈に察しお倧きな圱響力を持っおいる。これらの資本家はみな他人のお金を珟実資本に投資するのではなく、金融資産の売買に向けるこずで、投機資本ずしおいる。マルクスは他人のお金で投機を行う資本、投機で資本蓄積をしおいるような資本を信甚資本ず呌んだ泚参照。圌らが売買しおいるものは金融資産株匏、瀟債、囜債、消費者の債務蚌曞、倖囜為替、などであり、これらの商品は将来の利益に察する請求暩であっお、珟実に産業に投䞋されおいる資本にたいする凊分暩は持たない。
 金融資本は銀行ず産業ずの癒着ず定矩されおいたように、その本質は、利子生み資本であった。利子生み資本ずは、貞付けたお金が産業などの珟実資本に投䞋される資本の圢態である。他人のお金それ自䜓を資本化する信甚資本は珟実資本に投資されるわけではないので、利子生み資本の圢態すらずっおいない。

泚マルクスの信甚資本論
 マルクスは資本論第䞉巻、32章で信甚資本ずいう抂念を登堎させおいる。
「䞀方では、生産的資本家の資本は圌自身によっお『貯蓄』されるのではなくお、圌は自分の資本の倧きさに比䟋しお他人の貯蓄を自由にするのであり、他方では、貚幣資本家は他人の貯蓄を自分の『資本』にし、たた、再生産的資本家たちが互いに䞎え合う信甚や公衆が圌らに䞎える信甚を自分の私的な臎富源泉にするのである。資本は節玄ず劎働ずの生みの子だずいう資本䞻矩的システムの最埌の幻想も、これでだめになっおしたう。利最が他人の劎働の取埗であるばかりではなくお、この他人の劎働を搟取するための資本も『他人の』所有物からなっおいるのであっお、この他人の所有物を貚幣資本家が生産的資本家に自由に䜿わせ、その代わりに前者がこれはたたこれで埌者を搟取するのである。」『資本論』第䞉巻、原兞、旧版553、党集版524頁、匕甚はマルクスの手皿で蚳文は倧谷蚳『経枈志林』64å·»4号、2667頁
 このように述べたあず、マルクスは「なおもう少し信甚資本に぀いお述べおおかねばならない」ずいっお次のように結論付けおいる。
 「貚幣資本が存圚する圢態が、ただ、貚幣の圢態だけだず仮定しおも、この貚幣資本の倧きな䞀郚分は、぀ねに必然的にたんに架空なものである。すなわち䟡倀ぞの暩原である。・・・・しかし、それが貚幣資本に転化しお、同じ貚幣が繰り返し貚幣資本を衚わすかぎりでは、明らかに、それはただ䞀぀の点で金属貚幣ずしお存圚するだけであっお、他のすべおの点では、それはただ資本ぞの請求暩ずいうかたちで存圚するだけである。これらの請求暩の蓄積は、前提によれば、珟実の蓄積から、すなわち商品資本等々の䟡倀が貚幣に転化するこずから生じる。ずはいえ、これらの請求暩そのものの蓄積は、それの源泉である珟実の蓄積ずも違うし、貚幣の貞出によっお媒介される将来の蓄積生産過皋ずも異なるのである。」同曞、旧版5534、党集版5245頁、蚳文、倧谷蚳、269頁
 マルクスが信甚資本ず名づけた事情に぀いお芋おみよう。マルクスは「資本䞻矩システムの最埌の幻想」ずしおの、「資本は節玄ず劎働ずの生みの子」ずいうむデオロギヌを批刀するために、利子生み資本の蓄積を貚幣資本家による貚幣資本の蓄積ずいう芋地から考察したが、その垰結ずしお、貚幣資本家の資本に「信甚資本他人の資本」ず名づけたのである。そしおそのあずで貚幣資本が架空資本ず化しおいお、その本質は資本にたいする請求暩であり、その蓄積は珟実の蓄積や将来の生産ずは異なるものであるこずを指摘しおいる。私が提案する信甚資本䞻矩ずは、架空資本ずしおの貚幣資本が蓄積する様匏が支配的になっおいる今日の状況を解明する抂念ずしお、マルクスの信甚資本抂念をさらに拡匵しおいる。
 なお呚知のように、今日では資本は節玄ず劎働の生みの子ずいった、マルクスが批刀しようずしたむデオロギヌは、お金にお金を生たせるずいう信甚資本䞻矩のむデオロギヌに取っお代わられおいる。

信甚資本が売買する金融資産は架空資本
 今日の瀟䌚では、定期的収入をもたらす収入源はその収入を利子ず芋立おお資本還元し、資本の額を蚈算するこずで、その収入源は資本ずみなされる擬制資本。たずえば囜債は囜の借金であっお、囜債を売ったお金が資本ずしお投䞋されおいるわけではない。だから利子生み資本貞付けたお金が珟実資本に投䞋される圢態ずしおの機胜は持っおはいない。にもかかわらず資本ずしお扱われるが、このような資本を架空資本ず名づける。架空ずいう意味は、珟実資本に投資されないずいうこずを指し、利子生み資本の抂念からすれば架空のものずいう意味である。
 株匏も最初の賌入者の資金は珟実資本ぞず投資されるが、しかしその株刞が次々ず売買されお持ち手を換えるずきにはそれは架空資本ずなっおいる。今日売買されおいる金融資産はほずんどが架空資本である。
 信甚資本は架空資本を投機的に取匕するこずで蓄積しお行く。それはバブルを圢成し、バブルがはじければ金融資産の時䟡総額は暎萜するが、しかしこれは珟実資本にずっおは盎接のかかわりがない。実䜓経枈の動向ずは無関係に、バブルずその収瞮、これを繰り返すこずは投機・信甚資本䞻矩の宿呜である。
信甚資本の蓄積様匏は資本垂堎における投機であり、新しい資本䞻矩の段階は、投機・信甚資本䞻矩ず呌ぶほかはない。぀たり、資本垂堎における架空資本の売買の䞀般化は、支配的な資本が利子生み資本ずしおあった金融資本䞻矩から、信甚資本を支配的な資本ずする、投機・信甚資本䞻矩ぞの移行をもたらしたのである。

投機・信甚資本䞻矩の背景、貞付可胜な貚幣資本の蓄積
 架空資本は株刞や囜債や、各皮の債務蚌曞ずいう玙刞の圢態をずり、これを売買する垂堎が資本垂堎であるが、架空資本の買い手は、貞付可胜な貚幣資本である。貞付可胜な貚幣資本は、産業資本の埪環のうちで圢成される遊䌑貚幣資本や、各皮の収入資本家が受け取る利最や劎働者の劎賃などが預金されるこずで銀行に集䞭される。たた劎働者の幎金や保険も幎金基金や保険䌚瀟に集められ、巚倧な貞付可胜な貚幣資本ずなる。

投機・信甚資本䞻矩の背景、䞖界単䞀の資本垂堎の圢成
 埓来金融垂堎はロンドンにしろニュヌペヌクにしろ分断されおいた。ずころが技術によるオンラむン化によっお、各囜金融垂堎が連結され、囜際金融垂堎は䞖界単䞀の資本垂堎ずしおの機胜を持぀にいたった。その結果、オむルマネヌだけではなく、各囜通貚圓局の倖貚準備なども政府系ファンドずいう圢で貞付可胜な貚幣資本ずしお機胜するようになっおいる。

信甚・投機資本䞻矩段階
 この貞付可胜な貚幣資本の蓄積は珟実資本の蓄積からは盞察的に独立しおいるし、たた貞付可胜な貚幣資本の運甚に぀いおは架空資本の売買ずいう投機に向かいやすい。貞付け可胜な貚幣資本の異垞な芏暡での蓄積、オンラむン化による䞖界単䞀の資本垂堎の成立、これらを土台にしお、金融資本は信甚・投機資本ぞず倉質した。金融機関が金融をしなくなり、れロ金利で預金者を苊しめ、の瞮小を行っただけでなく、銀行の貞し枋り、産業ぞの血液の提䟛をせず、投資信蚗を売りたくる、等々金融業ず蚌刞業の垣根も取り払われ、巚倧金融機関や機関投資家、さらにはさたざたなファンドは投機取匕で利益を出すようになった。投機が資本の蓄積様匏ずなり、そしおこの投機ずいう信甚資本の蓄積様匏が支配的ずなり、瀟䌚の隅々から富を吞い䞊げおいる。
 金融資本ず違っお、投機・信甚資本は産業や消費者から搟り取れるだけ搟り取る、トヌタル・キャピタリズムゞャンずしお特城付けられる。盎面しおいる経枈危機を䜜りだした勢力は䜕であり、どこに敵はいるのか、この敵ず劂䜕に闘うのか。このこずがいた明らかにされるべきである。
 資本垂堎は基本的には無法地垯である。詐欺たがいの取匕が垂堎に悪圱響を䞎えるず、そのあずから叞盎が芏制に乗り出す。このようないたちごっこが繰り返されおきた。投機・信甚資本䞻矩こそが敵であり、これず闘うには投機垂堎にお金を吞い䞊げられないようにすればいい。䞖界恐慌における経枈政策の基本はここに眮かれなければならない。

名称の問題
 金融資本䞻矩が投機・信甚資本䞻矩に移行したこずで、名称の倉曎が必芁ずなっおきおいる。金融垂堎は信甚資本垂堎、぀たりは投機垂堎ず呌ぶべきである。投資家は今やいなくお投機家ず呌ぶべきである。投資信蚗も、投機信蚗ず化しおいる。金融のための別のシステムが必芁ずなっおきおいる。
2008/10/04

Author: ebara (10:28 pm)
䞖界恐慌の分析を目指しお、を掲茉したしたが、なぜか新着情報に出たせん。投皿文が長すぎたのでしょうか。
䞖界恐慌の分析を目指しおを二回に分けお掲茉したしたのでここに告知したす。
2008/10/03

Author: ebara (10:57 pm)
䞖界恐慌の分析を目指しお第䞀回続

金融資本䞻矩から信甚、投機資本䞻矩ぞの移行

第二章 ボヌグル『米囜はどこで道を誀ったか』

はじめに
 ゞャンはフランスの瀟䌚党政暩時代に囜有金融機関のCEOを歎任埌民間銀行の䌚長兌CEOに就任した人物で、金融垂堎の圓事者の䞀人でした。その政治的立堎は巊翌穏健掟ずいうずころでしょうか。次に取りあげるゞョン・C・ボヌグル『米囜はどこで道を誀ったか』東掋経枈新報瀟はアメリカの共和党の保守掟で䞖界最倧のミュヌチュアル・ファンド・グルヌプであるパンガヌド・グルヌプを立ち䞊げ、以降20幎以䞊もCEOを勀めた人物で、株匏䌚瀟アメリカ、投資瀟䌚アメリカ、ミュヌナアル・ファンドアメリカの䞉぀の章でアメリカの珟圚の病巣を抉り出しおいたす。病巣の内容はゞャンの分析ず䞀臎するのですが、若者たちに「䞖界を䞀新する仕事を各自の立堎で行っおほしい」ず扉で呌びかけおいるボヌグルは、マネヌゞャヌ資本䞻矩からオヌナヌ資本䞻矩ぞの䞀新を説いおおり、資本䞻矩䌁業のオヌナヌである株䞻に䌁業垂民ずしおの責任を果たすように求めおいる点で、ゞャンずは政治的に異なっおいたす。ずはいえ今日の資本䞻矩が所有瀟䌚ではなく仲介瀟䌚になっおいるずいう指摘は圓事者からの告発ずいう点でリアリティがあり、玹介しおおくこずにしたす。

アメリカの株匏䌚瀟の病巣
 ボヌグルの批刀は基本的には倫理的なもので、「過去20幎間、米囜の事業䌚瀟の指導者、投資銀行家、運甚マネヌゞャヌたちの行動芏範や䟡倀芏範が、目立っお萜ちおきた。」頁ずいう指摘に明らかですが、しかしボヌグルはこの倫理的退廃の経枈的基瀎を株匏垂堎のカゞノ化ずいうずころに求めおいお、しかもそのカゞノの構造をマネヌゞャヌ資本䞻矩ぞの倉容ずいうように解明しおいる点で有益なものです。この倉容に぀いおボヌグルは次のように述べおいたす。
 「株匏䌚瀟アメリカがおかしくなった問題の栞心には、資本䞻矩の倉異がある。䌝統的なオヌナヌ資本䞻矩から、新皮のマネヌゞャヌ資本䞻矩ぞず倉化した。倉化の圱響は最近の株匏垂堎のブヌム厩壊からも読みずれる。この時期、少なくずも兆ドルの富が䞀般投資家の手から䌁業むンサむダヌ、起業家、金融仲介機関の手に枡った。かなりの郚分たでストックオプションのお陰で圹員報酬が異垞に膚らんだ。肝心の䌁業収益の䌞びは、囜内の成長率ずの察比で芋れば、月䞊みにも満たない。しかも利益操䜜がシステムを支える原動力ずなった。暗黙の目的は株䟡匕き䞊げであり、䌁業の本来的䟡倀が向䞊したかどうかは関係ない。株匏䌚瀟アメリカの䞍具合はかなりの郚分たでこの資本䞻矩の病的異倉で説明できる。」53頁
 ボヌグルは富の甚だしい偏圚自䜓を病理ず看做しおいたすが、その分析は2002幎のバブル厩壊埌の株匏垂堎の底倀の時の勝者ず敗者ずいう具䜓的な実蚌によっおいたす。勝者は高倀で株を売り切った者ず金融仲介機関で、敗者は株を買った者ず仲介コストを払った者です。バブルがピヌクに向かうころ売华された株匏の倧郚分は、ストックオプションを通じお自瀟株を倧量に取埗した䌁業経営陣、ないし新芏䞊堎した起業家の保有株で、前者が2000億ドル以䞊、埌者が8000億ドル以䞊で、合わせるず1兆ドルの富の移転があったずボヌグルは芋おいたす。他方の金融仲介機関は、もっず倧きい芏暡で富の移転を果たしたした。投資銀行やブロヌカヌや運甚䌚瀟の手に枡った手数料は、1997幎から2002幎だけで1兆ドルを超えおいるずいうのです。これにファンド運甚䌚瀟の手数料2750億ドルが加わりたす。
 勝者が手にした2兆2750億ドルを倱なったのは敗者ですが、それは高倀で買った者ず、手数料を支払った者です。それにストックオプションで埗た自瀟株を売った経営陣に察しお株䟡を保぀ためにそれを買い戻した䌁業も貧乏くじを匕いた口に入りたす。ボヌグルはこれを株䞻が二重に損をしたず芋おいたす。
 ボヌグルにずっおは経営陣がストックオプションで埗た株をすぐに売り払ったり、法倖な報酬を埗おいたりするこず事態が病的な症状でこのような事態を維持するために、䌁業の䞍祥事が匕き起こされたず芋おいたす。
 ボヌグルは倧䌁業の䞍圓行為に぀いお7぀の䟋を挙げおいたす。それぞれは腐ったリンゎの䟋なのですが、腐ったリンゎに぀いお取りあげながらボヌグルはリンゎの暜それ自䜓が腐っおいるず指摘しおいたす。少し長くなりたすが、7぀の䟋に぀いお匕甚しおおきたしょう。
 「 ケネス・レむ、ゞェフリヌ・スキリング、アンドリュヌ・ファストり。゚ンロンを厩壊に導き、仰々しい金融工孊が䞀歩間違えば詐欺になるこずを曝露した。たた砎綻をめぐっお、優良取締圹䌚がたるで圹に立たず、䌚蚈事務所が抱き蟌たれこの䌚瀟ぱンロンにコンサルティング・サヌビスも提䟛しおいた、銀行が違法ぎりぎりの取匕にかなり関䞎しおいたこずが泚目を集めた。゚ンロンの時䟡総額は、䞍祥事発芚前のピヌク時が650億ドル、最終的にれロずなった。
 バヌナヌド・゚バヌス。砎綻したワヌルドコム埌のMCICEOずしお、䞍名誉の殿堂入りを果たした。同瀟の粉食決算は最終的に110億ドル芏暡であったこずが刀明した。゚バヌスは远加蚌拠金の支払いに自分の株を売华するのを避けるため、䌚瀟から4億800䞇ドルものロヌンを受け取り、取締圹䌚がそれを保蚌しおいた珟圚、経営陣ぞの貞付はサヌベンス・オクスタリヌ法で犁止されおいる。ワヌルドコムの時䟡総額は、䞍祥事件発芚以前のピヌク時が1650億ドル、最終的にれロずなった。
 スプリントノりむリアム・゚ズレヌずロナルド・レメむは、2億8700䞇ドルのオプション報酬を受け取り脚光を济びた報酬の理由ずなった合䜵蚈画よりにもよっお、前述のワヌルドコムずの合䜵は結局実珟しなかった。䞡名が利甚した節皎手段が埌に合法性を疑われたこずで、経営陣報酬の蚭定にあたり、瀟倖監査人が果たした圹割も問われる結果ずなった。スプリントの時䟡総額は、䞍祥事発芚前のピヌク時に580億ドル、2005幎初めには320億ドルずなっおいる。
 タむコのテニス・コズロりスキヌCEO。いく぀かの逞話で䞍本意な脚光を济びた。たず1300䞇ドル盞圓の矎術品賌入にあたり、高床ずはいいがたい手法で州消費皎を逃れようず詊みた。いくらもたたないうちに、今床は劻の誕生日にむタリアのサルディニア島で200䞇ドルを費やしおロヌマ時代颚パヌティを開いた。饗宎では、いたや語り草ずなったミケランゞェロのダビデ像を暡した氷像がりォッカをいわば滎らせおいた。じきに、経営者が株䞻の金ず自分の金の区別を芋倱う兞型的なパタヌンが明らかになった。コズロりスキヌはタむコずその株䞻から6億ドルを暪領したずいわれる。タむコの時䟡総額は、䞍祥事時発芚前のピヌク時が1170億ドル、2005幎には680億ドルずなっおいる。
 れネラル・゚レクトリックGEのゞャック・りェルチは、䞍倫隒動をきっかけに同じくらい䞍本意な脚光を济びた。離婚手続きの過皋で、退職したCEOが受け取る兞型的だが、めったに開瀺されない『ステルス型』報酬が明らかになった。GEのCEOずしお受け取った報酬は総額10億ドルに近かったはずだが、豪勢極たりない退職手圓は、ある評論家によるず幎間200䞇ドルに盞圓する。ニュヌペヌクのマンション、毎日届けられる花ずワむン、瀟甚ゞェット機を無条件に利甚する暩利などだ。その䞊に73侇4000ドルの幎金が月々支絊される。それでも台所事情は厳しいらしく、寄付金は月に614ドルだずいう。GEの時䟡総額は2000幎のピヌク時に6000億ドル、2005幎初めには3790億ドルずなった。
 AOLのスティヌブ・ケヌス。情報化時代を象城する巚倧化劄想の飛び抜けた䟋ずしお、2000幎初め、『ニュヌ゚コノミヌ』陣営のAOLず『オヌルド゚コノミヌ』陣営のタむム・ワヌナヌの合䜵案が発衚され、タむム・ワヌナヌ株は圓時過去最高の90ドルたで䞊昇した。ずころがAOLの売り䞊げは、発衚ずほずんど同時に急枛しはじめた。合䜵発衚から玄二幎埌、同瀟は合蚈980億ドルの損倱を蚈䞊した。AO創業者で合䜵䌚瀟の䌚長でもあるケヌスは、バブルが匟ける前の熱狂盞堎で、玄5億ドルに盞圓する保有株を倧半はピヌク時に近い䟡栌で売华しおいる。AOLの株䟡は埌に964ドルたで䞋萜した。時䟡総額は䞍祥事発芚前のピヌク時が2260億ドル、タむム・ワヌナヌずの合䜵時の時䟡総額は合わせお2400億ドル、2005幎初めには820億ドルだ。
 ニュヌペヌク蚌刞取匕所NYSE䌚長のリチャヌド・グラッ゜は、2004幎、呆れるほどの高額報酬1億8750䞇ドルが開瀺されお話題ずなった。自分が監督する盞手から䟛䞎される報酬だ。この件が泚目を济びたこずで、開瀺がもたらす健党な効果爆発的ではないがが明らかになり、さらに同取匕所の統治構造が歪んでいるこず、メンバヌ䌚員、スペシャリスト䌚員がほが独占的な地䜍にあるこずが明らかになった。スペシャリストは投資家の買い意欲、売り圧力に関する膚倧な内郚情報を利甚できる。NYSEの䌚員暩䟡栌は1999幎のピヌク時に265䞇ドル、2005幎初めには97侇5000ドルずなっおいる。」414頁
 同じCEOずいう地䜍にあるボヌグルらしい曞き方ですが、このような䞍祥事はマネヌゞャヌ資本䞻矩ぞず資本䞻矩が病的に異倉したためで、「CEOは、経枈成長が生み出した氎準をはるかに超えお、自分のために莫倧な富を創出したが、株䞻のために䜙分に創出はしなかった。」46頁ばかりか、゚ンロンの堎合は、株䞻のためには株を玙切れにしおしたったのです。
 ボヌグルがあげた7぀の䟋に芋られる症状は、他の䌁業にずっおも䟋倖的なものではありたせん。利益操䜜がほずんどの䌁業で行われたした。
 「CEOの過剰報酬ず䞊行しお、『利益操䜜』が株匏垂堎のバブルに倧きく貢献した。手品たがいの金融工孊がひねり出した四半期決算をみお、投資家はそれが予想可胜で持続的な収益だず思い蟌んだ。芁するに、ずんでもなく高すぎる収益目暙を蚭定した経営陣が高額報酬で報われ、次に、錬金術垫の手を借りお、発衚したずおりの収益目暙が達成された。」48頁
 利益操䜜の手段は色々あり、収益の認識を出来るだけ前倒しにし、経費の認識を出来るだけ先送りするためにありずあらゆる手段がずられたす。ずいうのも決算が䞀セントでも䞋回れば時䟡総額が数十億ドル吹っ飛ぶからです。しかしこのような操䜜は䞀時しのぎのもので、結局は䞍適切な䌚蚈は修正され、2000幎から2004幎の決算を修正した䞊堎䌁業は合蚈1570瀟にのがり、これは10幎前ず比べれば、7倍ずなっおいたす49頁。その他に、幎金基金による予定運甚利率の調敎ずいう手段も䜿われたした。これに぀いおは蚌刞取匕委員䌚が調査䞭でこれから実態が明らかになるずのこずです。
 このほかボヌグルはM&Aに぀いおも吊定的です。おおむね実䜓のない金融的手法に支えられたペヌパヌ・カンパニヌが実質的な事業基盀に支えられた䌚瀟を飲み蟌むのですが「どの合䜵劇も悲劇的な結末に終わった。最終的に、長幎勀めた数十䞇人の忠実な瀟員が職を倱い、退職幎金が無残に枛少した。」76頁のです。
 このようにアメリカの株匏䌚瀟の病巣を抉り出したボヌグルは次にどうすべきか、ずいうこずに぀いおの提蚀を行っおいたす。それは、オヌナヌである株䞻がマネヌゞャヌから暩力を奪うずいうものですが、項目だけを䞊げおおきたしょう8291頁。
䌁業垂民の抂念を掚進する。
経営ず所有を明確に分離する。
ストックオプション報酬を芋盎す。
報酬の基準を他瀟の報酬ではなく成瞟ずする。
長期的芖点に回垰する。
䌚蚈の透明床を高める。
取締圹䌚の意識改革。
 もっずもボヌグルも、このような改革が実珟しにくいものであるこずを認めおいたす。そしお最終的には機関投資家が音頭を取るこずに期埅しおいたす。

アメリカの投資瀟䌚の病巣
 ボヌグルが投資瀟䌚アメリカず名付けるのは米囜䌁業を所有する株匏保有者のこずです。そしおこの倚くは珟圚では機関投資家によっお占められおいたす。政府ず民間の退職幎金プランは3兆7000億ドルの米囜株を保有し、これは党䜓の26にあたりたす。
 この幎金プランには、確定絊付プランから確定拠出プランぞの倉曎が進んでいたす。前者は䌁業が資産を管理し、リスクは䌁業偎にありたしたが、埌者では埓業員が自分で運甚したす。「この倉化は、莫倧な投資リタヌンず投資リスクず投資コストが䌁業から個人ぞず移転されたこずを意味する。個人は退職埌の幎金絊付に自分で責任を負うようになった。」112頁のです。そしおこの移行はミュヌチュアルファンド業界の成長に寄䞎したした。急成長したミュヌチュアルファンドは珟圚米囜株の28%を保有しおいたす。
 「こうした倉化のなか、぀たり、民間幎金プランの構造が倉わり、公的幎金プランが急拡倧しお、ミュヌチュアルファンド業界が急成長するなか、倧きなトレンドが着々ず進行しおいった。株匏䌚瀟アメリカの株匏が機関投資家に保有されるようになったのだ。機関投資家は、公的・民間退職幎金プラン、ミュヌチュアルファンド、財団基金、銀行信蚗郚門を合蚈するず、珟圚、米囜株党䜓の66を保有しおいる。」114頁
 株匏運甚倧手300瀟の保有額は7兆5000億ドルで米囜株の時䟡総額が13兆2000億ドルですからその56に圓たりたす。このなかでも集䞭が進んでいお䞊䜍100瀟だけで52を占めおいたす。これらの倧手には株匏を保有する䌁業に察しお支配暩を振るう力がありたす。
 それだけではなく、䌁業の内郚情報に通じおいる機関投資家のマネヌゞャヌやアナリストたちは、その地䜍を利甚しお自らの財を築くために䞍正な取匕に手を぀け始めたのです。ボヌグルは次のような䟋を挙げおいたす。
 「 ヘンリヌ・ブロゞェット メリルリンチの元アナリストでむンタヌネット株を担圓しおいたブロゞェットは、アマゟン・ドットコムの目暙株䟡を400ドルず予想しお脚光を济びた䞀瞬ずはいえ実珟した。『新時代のグル』のひずりであり、ブロゞェットが奜意的に評䟡すればそれだけで䟡栌が急䞊昇するこずもあった。だがそうした銘柄倚くはメリルリンチが匕き受けた銘柄だったを倖向きには掚奚しながら、実際は正反察だったらしい。私的な電子メヌルでは掚奚した銘柄を『ゞャンク』だの『クズ』だのずいい、もっずひどいこずもいっおいる。ブロゞェットは400䞇ドルの眰金を課せられ、蚌刞業界での掻動を氞久に犁止された。
 ゞャック・グラブマン 『電気通信業界最倧の黒幕』ずいわれたグラブマンは最盛期には2000䞇ドルの幎俞を皌ぎ、りォヌル街史䞊最高の高額報酬アナリストだった。゜ロモン・スミス・バヌニヌの電気通信業界担圓アナリストずしお、1990幎代埌半、セクタヌの劇的な拡倧を支える䞭心的な圹割を果たした。1998幎だけでは3億4300䞇ドルの手数料を皌いでいる。調査リポヌトでのセクタヌに察する芋方は匷気䞀本槍だった。おそらくはそのお返しに、電気通信䌚瀟からに匕き受け䞻幹事の指名が集たった。グラブマンのひいきはワヌルドコムずみえた。巚額の䞍正䌚蚈が発芚しお砎綻するほが盎前たで、評䟡は倉わらなかった。2003幎、はグラブマンが䞍圓な調査リポヌトを発衚しおいたず刀断した。グラブマンは1500䞇ドルの眰金を課せられ、蚌刞業界での掻動を氞久に犁止された。
 フランク・クアトロン クレディ・スむス・ファヌスト・ボストンの元ハむテク担圓投資銀行ヘッド、フランク・クアトロンは、圓時最倧玚の案件の責任者だった。クアトロンずは埌に、そうした話題の株の割り圓おを求める機関投資家からリベヌトを受け取ったずしお捜査の察象ずなった。人気の銘柄はすぐに売华しお荒皌ぎできるので、顧客はたずたった数量の割り圓おず匕き換えに、ず別の取匕を玄束し、りォヌル街の暙準である䞀株圓たり0,05ドルではなく最倧1ドルの手数料を支払うこずで合意しおいた。クアトロンの足をすくったのは、2000幎埌半、の業務に圓局の捜査が入るずの報せを受けお同僚に送った電子メヌルだった。ファむルを『消去』するよう指瀺しおいたからだ。2004幎9月、クアトロンは叞法劚害圚で有眪刀決を受け、18ヶ月の犁固刑を蚀い枡された。」121~3頁
 このような䞍正な取匕が行われるようになった背景に぀いお、ボヌグルは次のように述べおいたす。
 「マネヌゞャヌ資本䞻矩を助長した倉化は次のずおりだ。広範囲な倉化を背景に、オヌナヌが倧䜓においお受身になった。たず株匏所有が個人投資家から機関投資家ぞずシフトした。゚ヌゞェンシヌ問題が起こり、代理人である運甚機関が䟝頌人であるミュヌチュアルファンド投資家や幎金プラン加入者の利益ではなく自分の利益を優先するようになった。明らかな利益盞反問題が起こった。金融コングロマリット化が投資瀟䌚アメリカの特城ずなった。さらに費甚察効果の点からみお、受身の株䞻であるこずが有利ずなった。こうした展開がすべお逆颚ずなり、投資家が䌁業の統治に参加する䟋は各段に少なくなった。」129~30頁
 このような芋方は、珟圚のマネヌゞャヌ資本䞻矩に察しお、オヌナヌ資本䞻矩を埩掻させようずするボヌグルの考え方から導かれたものですが、この考えはずもかく、珟圚のマネヌゞャヌ資本䞻矩の欠陥に぀いおは明確に指摘しおいたす。たず株匏時䟡総額がもおはやされるようになったこずに぀いお、次のように述べおいたす。
 「運甚マネヌゞャヌの行動は䌁業経営陣の行動ず切り離しおは考えられないこの逆もいえる。運甚マネヌゞャヌが䌁業の本来的䟡倀に目もくれずひたすら株䟡に泚目するなら、䌁業経営陣が機に乗じお株䟡に泚目するのは意倖ではない。同様に、䌁業経営陣が利益を郜合よく操䜜するなら、運甚マネヌゞャヌが垂堎のおめでたさに぀け入るのは意倖ではない。䜕しろ垂堎は䌁業の発衚数倀を鵜呑みにし、たやかしを無条件に受け入れる。」143頁
 次に短期䞻矩です。投資ず投機の違いに぀いおは叀くから議論がありたした。䞋郚の長期の所有は投資で、転売のために買うのが投機です。ボヌグルの短期䞻矩ぞの批刀は、オヌナヌ資本䞻矩による䌁業垂民ずしおの掻動の展開が䞍可胜ずなるずいう芋地からのものです。
 「投資業界の倧郚分は『短期䞻矩』の悪しき䟋の芋本ずいっおいいだろう。投機熱患者の熱を枬るには、ポヌトフォリオの売買回転率をみればいい。たずえば株匏ミュヌチュアルファンドの平均売買回転率を芋るず、1960幎代半ばたでの数十幎間は幎率玄15%ずかなり安定しおいる。だが1990幎代以降、100%以䞊に急䞊昇した。これに比䟋しお、䌁業統治ぞの関心は薄れおいった。
 ひず昔前、平均保有期間が6幎だったころのミュヌチュアルファンド業界が『株匏を所有する』業界なら、保有期間が幎ずなった珟圚の業界は『株匏を借りる』業界だ。次の総䌚シヌズンが蚪れるころには株は手元にない可胜性が高いのに、わざわざコストをかけお䌁業統治を評䟡する理由がどこにある」143~4頁
 ミュヌチュアルファンドですら短期䞻矩ずなり、平均保有期間が䞀幎だずすれば、90幎代埌半になっおのし䞊がっおきたヘッゞファンドはたさに株を借りお、そのうえレバリッゞを利かせおいたす。投機そのものです。
 「いたや長期投資ず䌁業䟡倀を基本ずする理念は忘れさられ、投資家は株䟡に䞀喜䞀憂し、その株䟡は四半期利益の増枛に぀れお䞊䞋しおいる。有名倧䌁業の䞀郚で䌚蚈操䜜が暪行しおいるのをみれば仰倩するかもしれない。500皮を構成する倧䌁業の公衚利益ず営業利益が倧きく食い違っおいるこずから、これは明らかだ。」173頁
 株匏時䟡総額の暪行ずそれに䌎う䌚蚈基準の倉化、さらには䞍正の暪行、実態を知る立堎にあるボヌグルの発蚀は蟛蟣です。

ミュヌチュアルファンド
 ミュヌチュアルファンドずは投資信蚗䌚瀟ですが、これは先にも觊れたように、幎金が個々人にリスクを負わせる確定拠出型が増倧するに䌎い、成長しおきたした。
 「ミュヌチュアルファンド・アメリカは、倧型金融機関ずいう倧きなくくりの䞀分野ずしお、投資瀟䌚アメリカが䌁業垂民の責任を攟り出す過皋で倧きな圹割を果たしおきた。結果的に株匏䌚瀟アメリカでオヌナヌ資本䞻矩が廃れ、代わりにマネヌゞャヌ資本䞻矩が台頭した。しかも独特のねじれた統治構造を持぀ため、ファンド業界そのものがマネヌゞャヌ資本䞻矩の極端なモデルずなっおいる。
 ミュヌチュアルファンドのマネヌゞャヌらは、株匏䌚瀟アメリカの独裁経営者さえ呆れるそしお驚くに違いない構造の䞋、実質的に䜕の制玄もなく自分の利益を投資家の利益に優先しおいる。」207頁
 ボヌグルは機関投資家である埓来の幎金基金ず比べおミュヌチュアルファンドは投資家ぞのリタヌンが少ないのですが、それはミュヌチュアルファンドのマネヌゞャヌが、投資家の利益よりも自分の利益を優先しおいるこずにあるず芋おいたす、そしおこの自らも属しおいるミュヌチュアルファンド業界が、ボヌグルが告発しおやたないマネヌゞャヌ資本䞻矩のモデルになっおいる、ずいうのです。
 「ファンドは通垞、埓業員はいないが取締圹をも぀法人ずしお、運甚䌚瀟の手で蚭立される。運甚䌚瀟ずは別の財務目的をも぀別の法人だ。この仕組みの䞋でなら、ファンドのマネヌゞャヌは投資家をほが党面的に支配できる。そうなれば、いくら䞀般投資家の利益に貢献するず誓玄しおいおも、ファンド・マネヌゞャヌが暩限を悪甚するのはたず避けられない。深刻な利益盞反がやがお明るみに出るこずになった。」208頁
 利益盞反の具䜓䟋の䞀぀はマヌケットタむミング取匕です。これはマネヌゞャヌが優良顧客に察しお、䟋えば、明日の株䟡の䞊昇が予想されるずきに、取匕終了埌の終倀で株を売買するものです。ボヌグルはミュヌチュアルファンドスキャンダルずしお次の事䟋を挙げおいたす。
 「 ゲむリヌ・ピルグリムずハロルド・バクスタヌ ファンド䌚瀟の経営者。優良顧客であるヘッゞファンド数瀟にマヌケットタむミング取匕を容認し、さらに個人的に出資する別のヘッゞファンド䌚瀟を通じお同様の取匕を行っおいた。ピルグリム・バクスタヌ・ホヌルディング・グルヌプファンドは1985幎の開始以来、明らかに投機的な方針の䞋に運営されおいた。攻撃的な短期取匕を䞭心ずし、リタヌンは䞊方にも䞋方にも倧きく振れた。だが散発的ずはいえずきに目芚しいリタヌンを達成し、そうした成瞟を倧々的に宣䌝しお倚額の資金を集めた。ただそれは奜調期がピヌクを迎え、あずは䞋萜するしかない時期だった。結果はこうだ。ファンドの投資家は文字どおり数十億ドル単䜍の損倱を被り、䞀方のピルグリムずバクスタヌは少なくずも10億ドルを皌いだ。1990幎代だけでファンドから玄4億5700䞇ドルの運甚手数料をせしめた䞊に、䞊堎䌚瀟に運甚䌚瀟を売华しおいる。運甚䌚瀟はファンド・マネヌゞャヌが皌ぐ莫倧な利益の䞀郚を取り蟌むこずだけを目的に蚭立されたものだ。䞡名がマヌケットタむミング取匕から皌いだ利益は、それ以倖で積み䞊げた巚額の財産からみれば取るに足らない。ずスピツァヌ長官ずの間で和解が成立し、眰金ず賠償金合わせお1億6000䞇ドルを支払った。バケツ䞀杯に皌いだ䞍圓な利益に比べれば、すずめの涙ずいっおいい䞡名は民事蚎蚟の和解にあたり、眪を吊認も是認もしおいない。
 リチャヌド・ストロング 運甚䌚瀟ストロング瀟のオヌナヌ。『ストロング・ファンズ』のマヌケットタむミング取匕を容認又は幇助しおいた。たたストロング自身、自分や友人、家族のために同様の取匕を実行しおいた。刑事告蚎も䞀時取り沙汰され、運甚業界での掻動を氞久に犁止された民事蚎蚟の和解にあたり、眪を吊認も是認もしおいないストロング瀟が支払った眰金1億7500䞇ドルは、ファンド運甚䌚瀟に課せられた眰金ずしお最高額に近い。だがストロングからみれば採算は十分ずれおいる。1992~2002幎にファンドから2億1700䞇ドルの手数料を皌いだ䞊に、スキャンダルから玄幎埌、りェルズ・ファヌゎ・バンクに䌚瀟を売华しお掚定4億ドルの収入を懐にした。
 ゞェヌムズ・コネリヌ アルガヌの元副䌚長にしおアルガヌ・ファンズの販売・営業責任者。自瀟のミュヌチュアルファンドの䞍圓取匕を容認しお運甚䌚瀟が利益を埗る戊略の『草分け』のひずりずみられる。1990幎代半ばから、アルガヌのミュヌチュアルファンドでマヌケットタむミング取匕を容認する仕組みを構築し、2003幎たでに投資䌚瀟十数瀟から2億ドル以䞊の資産を集めた。スピッツアヌの捜査が始たるこずに気づき、蚌拠隠滅を図っおたすたす立堎をたずくした。40䞇ドルの眰金を課せられ、投資業界から氞久に远攟され、~3幎の犁固刑を蚀い枡されおいる。皮肉にも2002幎、ある業界誌で『ファンド・リヌダヌ・オブ・ザ・むダヌ』に遞ばれおいる。
 ロヌレンス・ラッサヌ パトナム・マネゞメント・カンパニヌで長幎を勀め、垞に業界指折りの高額報酬に数えられおいた。1998~2002幎だけで、総額1億6300䞇ドルの報酬を手にしおいるパトナムは金融コングロマリット、マヌシュ・アンド・マクレナンの子䌚瀟。マヌシュ・アンド・マクレランの保険ブロヌカヌ子䌚瀟は、スピッツアヌが2004幎に摘発した『䞍正入札ず優先サヌビス契玄』スキャンダルで関䞎を指摘されおいる。パトナムの2004幎の報告によるず、ラッサヌは2000幎初めにはファンド・マネヌゞャヌによる䞍適切取匕を認識しおいた最終的に、6名のファンド・マネヌゞャヌを含む瀟員40名が摘発された。受蚗者責任違反を認識しながら、懲眰も解雇もせず、䌚瀟にもファンド取締圹にも投資家にも、連邊圓局にも州圓局にも。䞍正行為を報告しなかったパトマムは埌に1億9300䞇ドルの眰金ず投資家に察する賠償金支払いに合意した。ラッサヌは、民事提蚟も刑事告発もされなかったが、マヌシュ・アンド・マクレランからは远い出された。ただし7800䞇ドルの退職金を受け取っおいる」213~15頁
 このような個々の䞍正を挙げた䞊で、ボヌグルはその原因に぀いお次のようにたずめおいたす。
 「事実はこうだ。ミュヌチュアルファンド運甚䌚瀟の倧半は、自分自身の財産を増やすのに忙しく、顧客の財産を、぀たり苊劎しお皌いだ資金を自分に委蚗した人々の財産を増やす仕事を埌回しにした。熱意ず想像力ず知性をさらには膚倧な資源を泚ぎ蟌んで、巧劙で郜合のいいマヌケティング手法を線み出す䞀方、責任ある䌁業垂民ずしお矩務を果たそうずしなかった。資金を集め、アドバむザリヌ手数料を皌げるだけ皌ぐこずが倧半の運甚䌚瀟の必須条件ずなった。利益远求を第䞀ずするこの姿勢は、違法な時間倖取匕にしおも、時差を利甚した䞍道埳な短期取匕にしおも、スキャンダルを匕き起こした倧きな芁因ず考えられる。ほずんど泚目を济びおはいないが、䞀般投資家に倚様なマヌケットタむミングの機䌚を提䟛し、結果的に莫倧な資源が浪費された問題に぀いおもそういえる。芁するに、投資家がわれがちに、いく぀ものファンドに少なくない資金を投じお、次々に乗り換えた。」221頁
 このような運甚䌚瀟のやり方によっお、投資家に垰属するはずの利益がマネヌゞャヌに吞い取られおいる、ずいうこずに぀いお、ボヌグルは数字を挙げおいたす。
 「投資家は資本の100%を出し、リスクの100%を匕き受け、利益の57%しか回収できおいない。ファンドを運甚しお販売する偎は、資本を出さず、リスクを匕き受けず、リタヌンの43%を回収しおいる。ミュヌツチュアルファンド・アメリカで、マネヌゞャヌ資本䞻矩がオヌナヌ資本䞻矩を圧倒する仕組みを説明したいずき、これが兞型䟋にならないなら、䜕がそうなるのか考えにくい。投資家の資金の半分近くが、文字どおり倱うものはなく、埗るものばかりある偎に吞い取られおいる。」239~40頁
 投資信蚗においお運甚䌚瀟が手数料収入を目的に商品を開発し、結果ずしお投資家の利益を損なうこずになっおいる、ずいう珟状は、たさに䞀般投資家を食い物にしお、ミュヌチャるファンド業界が成長しおきたこずになりたす。
 「ミュヌチュアルファンドのマネヌゞャヌが远求するのは、事業家ずしおの利益だ。ファンドが皌ぐリタヌンではなく、マネヌゞャヌが蚭定する契玄の䞋、ファンドが支払うアドバむザヌ料金が利益の源泉ずなる。ここではマネヌゞャヌは実質的に独裁者であり、取匕の双方を代衚しおいる。」248頁
 ゞャンは珟代の資本䞻矩をトヌタル・キャピタリズムず呜名したした。それは珟代の資本䞻矩が「地球芏暡で拡倧し、䞖界の経枈掻動のすべおを包み蟌んでいる」ゞャン、160頁ずいう意味でしたが、その暩力構造がここで描き出されおいたす。金融資産を媒介ずした䟡倀の吞取、これが投機垂堎ず化した資本垂堎で日々行われおいる珟実です。
 「ミュヌチュアルファンドの仕組みはたいおいこうだ。資産残高が数千億ドルであっおも、自分で運甚しおいるわけではない。倖郚の運甚䌚瀟株䞻も別を雇い、運営を任せおいる。運甚䌚瀟がファンドを管理し、受益蚌刞を販売し、ポヌトフォリオを監督する。運甚開始にあたり䞀方的に手数料の氎準を決める。新ファンドをい぀蚭定するか決め、どんなタむプにするかを決める。成瞟が振るわなければ、ポヌトフォリオ・マネヌゞャヌを入れ替える。ただし新マネヌゞャヌも同じ運甚䌚瀟の瀟員だ。ファンドが圹に立たなくなれば、ふさわしい結末の぀け方を決める。あっさり枅算する堎合もあるが、䞀般的なのは、過去の成瞟がたしで、やはり自瀟で運甚する別のファンドず合䜵させる方法だ。始末されたファンドの成瞟は歎史の闇に葬り去られる。
 しかもこうした運甚䌚瀟はファンドに圹員を掟遣する。ファンドではなく運甚䌚瀟に雇われた人物だ。さらに運甚䌚瀟の経営陣はたいおい自瀟が運甚するファンドに䜕ほども投資しおいないが、ファンドの取締圹䌚には名を連ねおいる。぀い最近たで、ファンドの『独立』取締圹も遞任しおいた。珟圚は取締圹䌚の75%以䞊は独立取締圹でなければならないず法埋で定められおいる。たたたいおいの堎合、運甚䌚瀟の取締圹䌚䌚長はファンドの取締圹䌚䌚長を兌任しおいる。」251~2頁
 銀行ず産業ずの癒着ずいった時代から、䌁業は倚囜籍䌁業ずしお、䞭䜍の囜家のず肩を䞊べ、銀行に頌らず資金調達し、他方銀行は倖囜為替のディヌリングやファンドを組んで投機的利益を远求し、金融仲介ずいった本来の圹割を攟棄しおいる、そのような事態をもたらしおいる信甚、投機資本䞻矩の暩力構造は意倖ず脆匱かもしれたせん。問題は誰が暩力を担いどのように行動しおいるかを明らかにするこずです。ボヌグルの著䜜はこの解明のための材料を提䟛しおいたす。この項完
2008/10/03

Author: ebara (10:47 pm)
りォヌル街の断続的な金融危機は䞖界産業恐慌ぞず進み぀぀ありたす。このような時期に進行しおいる事態の分析が求められたす。『ASSB』誌16å·»3号08幎8月21日発行に掲茉した論文を二回に分けお転茉したす。

䞖界恐慌の分析を目指しお第䞀回

金融資本䞻矩から信甚、投機資本䞻矩ぞの移行

はじめに
 07幎倏の金融危機はサブプラむム問題が匕き金ずなりたしたが、これはその埌も断続的に金融危機を繰り返しおいたす。その様盞は1929幎の䞖界恐慌の進行ずは党く異なったものですから、宇野経枈孊を信奉する孊者の䞭には恐慌ではないずいう芋解を述べる人もいたす。埓来の恐慌論は、景気埪環論ずセットで、奜況、その加熱、恐慌、䞍況ずいう景気埪環の䞀぀の局面でした。このような理解からすれば、珟圚ではそもそも景気埪環自䜓がこのような明確なサむクルを取らなくなっおいるので、分析䞍胜になっおいるず思われたす。たたか぀おは金融恐慌は盎ちに産業恐慌ぞず波及したした。しかし今はニュヌペヌクの株匏垂堎で株䟡の暎萜があっおも、それがすぐ産業恐慌ぞず波及しおいくわけではありたせん。それはずもかく、29幎恐慌ず比范すれば、その時には奜景気の過熱のあずに急激な危機がもたらされたので、アメリカの劎働者たちは恵たれた生掻条件のあずに倱業などの事態に芋舞われたのですが、やはり䜙裕があったせいで、階玚闘争に参加する人は少なく、倱業しおも䜕ずかやりくりしながらしのいだのでした。
 しかし今日のアメリカは、恐慌の前から瀟䌚の栌差の拡倧により、最䜎限の生掻氎準の人たちが倧勢いたす。圌らが倱業すれば、闘うしか道がないように思われたす。たた日本でも、ここ数幎かけおやっずワヌキングプアたちの闘いが圢になっおきたした。その圧力を受けお自民党政暩も日雇い掟遣の芋盎しなど、この間の劎働行政に぀いおの改善のポヌズをずらざるをえなくなっおいたす。そしお闘いが始たるこずで逆に今日の䞖界恐慌の特城ず、䜕が問題かが芋えるようになっおきおいたす。
 今日の資本䞻矩がいわゆる垝囜䞻矩段階の金融資本䞻矩ずは異なる段階ぞず到達しおいるこず、この認識はだんだん広たり぀぀ありたすが、この間の事態の進展はこの認識を深めおいくこずを可胜ずしおいたす。いく぀かの文献を玹介しながら、進行し぀぀ある䞖界恐慌の分析ぞず進んでいくこずにしたす。

第䞀章 ゞャン・ペむルルノァッド『䞖界を壊す金融資本䞻矩トヌタル・キャピタリズム』

株䞻による革呜
 ゞャンは、フランスのブルデュヌなど巊掟の䞻匵には党く耳を貞しおはいず、たたオルタナティブの提案も今ひず぀明確ではありたせんが、しかし、珟代の資本䞻矩を株䞻による革呜によっおもたらされたず芋る点で瀺唆的です。
「珟代の資本䞻矩ずは、巚倧株匏䌚瀟のように組織され、所有暩構造も、たた䞍詳である。䞉億人の株䞻のうち、その90が北アメリカ、西ペヌロッパ、日本に集䞭しおおり、圌らは䞖界䞭のほずんどの株匏時䟡総額を掌握しおいる。こうした株䞻の特城ずしおは、熟幎局であり、高等教育を受けおおり、比范的高収入であるこずが挙げられる。圌らの金融資産の半分は、それを運甚するファンド・マネヌゞャヌに信蚗されおおり、投資信蚗、ミュヌチュアルファンド、幎金基金、生呜保険ずいった金融商品で運甚されおいる。こうした金融商品の唯䞀の目的は、グロヌバル化を利甚しお資金の出し手を儲けさせるこずである。儲けるためのテクニックはアメリカもペヌロッパも䌌通っおいる。『䌁業統治』、いわゆるコヌポレヌト・ガバナンスを拠り所ずしおいるのだ。」『䞖界を壊す金融資本䞻矩』、ゞャン・ペむルルノァッド、NTT出版、頁
 ゞャンによれば、叀兞的金融資本ずは、ドむツ型資本䞻矩モデルでそれは間接金融を特城ずしおいたした。銀行は貯蓄された資金を産業ぞず振り向ける金融仲介をしおいたのです。しかしこのやり方は、資本䞻矩の倉貌ずずもに行き詰たり、新たに盎接金融の時代が始たりたす。この盎接金融の特長に぀いおゞャンは次のように述べおいたす。
 「埓来の銀行家ずは異なり、このような資産管理業務を行うファンド・マネヌゞャヌが金融の仲介的圹割を担うこずはない。こうした機関投資家たちは、自らはリスクを取らず、預かった資産を運甚するだけである。機関投資家は投資方法に぀いおの責任は有するが、投資成瞟に぀いおは関知しない。運甚損益に぀いおは信蚗者のリスクずなる。圌らは厳しい競争䞋においお、運甚実瞟が顧客獲埗のための方䟿ずなったずしおも、いわば無責任䜓制なのである。」19頁
 たしかに人は慣甚句に匕きずられお、今日でも資本垂堎を金融垂堎ず呌び、支配的資本を金融資本ず呌んでいたすが、ゞャンによれば、このような名称は空掞化しおいるこずになりたす。ずいうのも珟代の機関投資家の圹割は金融お金をファむナンスするずは関係がないからです。぀たりすでに投資されおいる金融資産の売買で、その取匕高は珟実に生産などに投資されおいる資本の増倧ではなく、架空の資本に他ならないからです。これはむしろ信甚、投機の垂堎であり、機関投資家は、信甚、投機資本䞻矩ずでも呌んだ方が正確だず思いたす。
 「この盎接金融がもたらした圱響は甚倧である。今埌、本曞で怜蚌しおいくが、コヌポレヌト・ガバナンスの発展ずは、資本䞻矩の内郚機胜のみを察象ずし、倖郚ぞの圱響は決しお考慮しない盎接金融システム特有の教矩のためのものであり株䞻に利益をもたらすように付加䟡倀を創造しおいくずいう基本理念を尊重させるためのものなのである。・・・・金融システム内郚においお公共の利益を衚明する堎はなくなった。垂民ず株䞻は盞容れない二者ずなり、党く別の銀河系で生掻するこずになったのである。」23頁
 ここでゞャンは株䞻ず垂民ずの間に察立を芋おいたすが、それは正確には産業ず株䞻ずが察立するようになったずいうようこずでしょう。たたたたほら吹きのフリヌドマンの『遞択の自由』日本経枈新聞瀟を眺めおいお第八章に「劎働者を守るものは誰か」ずあるのに気づき読んでみるず、劎働者は自由競争すれば結果ずしお自分たちの地䜍を守れるず曞いおあっお驚きたしたが、圌らは垂堎ずいえばみんな同じで、劎働垂堎、商品垂堎、金融垂堎、株匏垂堎、資本垂堎などがそれぞれ異なるものであるこずを芋おはいず、垂堎であれは䜕でも自由にしなければず考えおいるようなのです。この間の新自由䞻矩の成功は垂堎なら䜕でも自由に、ずいう䞻匵が通ったこずによりたすが、そうであれば遅たきながらも、これら各垂堎の違いを明確にし、それぞれにおける芏制の必芁性を明らかにしおいくこずが必芁でしょう。

䞖界の株䞻たち
 さおゞャンは、第二章 株䞻が握る力、その理論ず実践で、株匏所有者を囜民になぞらえお、民䞻䞻矩䜓制に擬制しおいる株匏擬䌌民䞻䞻矩ずいう理論が幻想であるこずに぀いお論じおいたすがそれは玹介せずに、アメリカでの盎接金融の始たりに぀いおの説から芋おいきたしょう。
 ゞャンは、倧恐慌時に実斜されたグラス・スティヌガル法商業銀行ず投資銀行の圹割の分離によっおアメリカでは盎接金融制床が発展したずみおいたす。しかしそれはただ今日芋るようなものではなかったのですが、コヌポレヌト・ガバナンスが誕生するなかで株䞻䞻暩が出来䞊がっおきたず芋おいるのです。それは、1980幎代のアメリカでの乗っ取り屋たちがくりひろげた敵察的買収を契機にはじたったコヌポレヌト・ガバナンスで、䞊堎䌁業の資本所有者ず経営陣ずの間の予定調和の䞍圚がはじたり、䌁業経営者は埓来の経営方針ずは異なる方針を抌し付けられるこずになったのです。
 「効率的な垂堎が存圚するずいう過皋においお、垂堎における䌁業䟡倀の極倧化を図るこずに盞圓する。぀たりこれは株匏時䟡総額の極倧化である。」412頁
 埓来倧䌁業の経営者たちは、株䞻ぞの配圓を目的に事業を経営しおきたのではなく、雇甚しおいる人たちぞの生掻暩ぞも配慮し、たた囜民経枈の成長にも貢献しおきたしたが、このような䌁業のあり方ずはたったく別の、株匏時䟡総額の極倧化ずいう目的で䌚瀟を支配しようずいう意志が働くようになっおいったのです。そのために重圹制床を改倉し、信甚、投機資本の利害を代衚する勢力ず䌁業偎の代衚受任者のCEOずの関係を調敎しおいったのです。
 「受任者の報酬が委任者の儲けず䞊行しお䞊昇するように䞡者の関係をデザむンするのである。たた、䌁業の成果にさたざたな指暙を蚭けるのである。特に、ストック・オプションの導入は急速に広たり、株匏䟡栌の䞊昇を利甚しお双方に恩恵が行き枡るようにデザむンしたのである。」44頁
 株匏䌚瀟ずは䜕かずいう定矩が、新たに株䞻のもの、ずいうこずになり、株匏時䟡総額が䌚瀟の䟡倀を蚈る䟡倀尺床ずなりたした。その結果蔓延したのは、゚ンロンなどの䞍正䌚蚈でした。制裁ずルヌルの厳栌化、䌁業改革、取締圹䌚の内郚構成の倉化、非執行圹員による監査などをぞおきはしたしたが、絶察化する株䞻の暩力は倉わらなかったずゞャンは芋おいたす。
 「倧䌁業の経営陣は株䞻の䜿甚人に過ぎず、株䞻は利益のみを远求しおいる。」4頁
 「倧䌁業の経営者ずは、儲けさせろず芁求する株䞻党員のために働く熱心な奉仕人に過ぎないのである。」54頁
 CEOの収入は増倧しおいきたしたが、ゞャンは圌らが、黄金でできた監獄生掻のなかで采配を振るっおいるずさえ看做しおいるのです。それではこのような支配暩を揮うようになった株䞻ずは䜕者かずゞャンは問うおいたす。たず、䞖界の株䞻たちの抂略が描かれたす。
 「2003幎埌半の時点で、䞖界の株匏時䟡総額は31兆ドルであり、これは䞖界のGDP合蚈額36兆ドルの86に盞圓する。」58頁
 この株匏時䟡総額ずいうもの自䜓は架空資本で、恐慌で株䟡が暎萜すれば、あっずいう間に䜕割もの単䜍で倱われおしたうものです。これは実際に事業に投資されおいる金額をはるかに䞊回っおいたす。たた株匏垂堎も含めた金融垂堎の芏暡はどうでしようか。
 「金融資本垂堎の党䜓芏暡は䞖界のGDPの玄䞉倍になるずいうこずを意味する。すなわち、䞖界党䜓の金融資本垂堎の芏暡は100兆ドルである。」59頁
 GDPのうちの䜕パヌセントかを占める株匏䌚瀟の投資額が、株匏時䟡総額ずなるずGDPの総額に迫り、さらに株匏や倖囜為替が取匕されおいる金融垂堎の芏暡ずなるずGDPの3倍ずなるずゞャンは述べおいたす。しかも蚌刞資産は少数の囜に偏圚しおいたす。
 アメリカの人口は䞖界ので、生産は25を占め、さらに株匏時䟡総額は46を占めおいたす。EU15カ囜で株匏時䟡総額は䞖界の25、日本は15で、人類の5が䞖界の株匏資産のほずんどを所有しおいたす。そしお、0,2が䞖界の株匏資産の半分を持っおいるのです。

株匏による所埗栌差
 ゞャンは、蔓延する囜際的な栌差瀟䌚化の進展の原因の䞀぀に、株匏が生みだすいび぀な所埗栌差があるず芋おいたす。䞖界の劎働者人口の半分に盞圓する14億䞖垯は䞀日2ドル以䞋の生掻を匷いられおいるのに、株で最っおいる金持ちの数は人口増を䞊回る圢で増えおいっおいるのです。
 「株の高利回りず経枈理論ずのパラドックスずは、株の利回りが経枈成長を倧きく䞊回っおきたずいうこずである。」65頁
 ゞャンによればアメリカの過去半䞖玀の株匏の利回りが7であったのに察しお、経枈成長のほうは3.3に過ぎたせんでした。これは囜民経枈が生み出した富の再配分においお、株䞻に有利に働いおいるずいうこずであり、株䞻の経枈的暩力を増倧させおいるずいうこずなのです。
 このように力を貯えた株䞻たちは「䞇囜の株䞻よ団結せよ」ずばかりに、金融垂堎に富を吞い䞊げるあれこれの方策を囜家ず䌁業に察しお芁求しおきおいたす。高霢化瀟䌚になっお、幎金基金を初めずする機関投資家が台頭し、すべおお金で解決ずいう圢で、瀟䌚的連垯感の喪倱が始たっおいたす。
 アメリカでは雇甚䞻がリスクをずる確定絊付型に代わり、リスクを個人化した確定拠出型幎金基金が増倧しおいたす。そしお、幎金基金はアメリカの株匏の時䟡総額の30以䞊を保有しおいたす。
 「アメリカの株匏垂堎の様盞は様倉わりしたのである。いわゆる䞖垯の金融資産を管理運営する機関投資家幎金基金、投資信蚗䌚瀟、生呜保険䌚瀟を通じた株匏の間接保有が䞻流になろうずしおいるのである。」745頁
 埓来アメリカには倧衆投資家の割合が倚かったのですが、それも淘汰され、機関投資家を媒介者ずした間接保有が䞻流ずなっおきおいおいたす。このタむプの資本家は生産に埓事するわけではなく、預かった倧衆の資金を投機によっお増やそうずしおいるのですから、寄生的存圚に他なりたせん。しかしもずもずの資金がアメリカの劎働者の幎金基金であるずいうずころに問題の深刻さがありたす。
 株匏垂堎に぀いおのこのような分析を螏たえ、その党䜓像に぀いおゞャンは次のように述べおいたす。
 「珟圚の資本䞻矩は巚倧な株匏䌚瀟ずしお圢成されおおり、それは恐るべきピラミッド型構造であり、顔の芋えない構造である。䞉億人の株䞻が資本䞻矩を支えおいるのである。裕犏な先進囜の䞀般垂民は、個人の蓄えを老埌に備えお株匏で運甚しおいる。こうした行為は政治的・瀟䌚的正圓性を埗おいるのである。こうした資産の倧半は、信蚗された資産を増やすこずが職務である数䞇瀟のファンド・マネヌゞャヌによっお運甚されおいる。ゆえにファンド・マネヌゞャヌは集めた匟薬15兆ドルを歊噚にしお、䞊堎しおいる数千瀟の䌁業の経営者に察し、自らの方針を抌し付けるのである。もはや䌁業の経営者は株䞻に察しお逆らうこずが出来ない献身的な奉仕人に過ぎない。反逆する経営者は䞍信任決議でパヌゞされるのである。」82頁
 このような資本䞻矩に぀いお、ゞャンはトヌタル・キャピタリズムず名付けおいたす。そしおその特長に぀いお次のように述べおいたす。
 「珟代の資本䞻矩においお決定暩を握っおいるのは・ファンド・マネヌゞャヌをはじめずする資金の出し手をたずめ䞊げた組織であるこずは自明である。」84頁
 この新たな資本䞻矩の蓄積様匏に぀いおゞャンは歎史的な芖点から批刀を詊みおいたす。たずその成長に぀いお、「先進囜の幎間経枈成長率がおよそ2%から3%のずきに、どうしお株匏垂堎は幎間10の成長を続けるこずができるのであろうか。」106頁ず疑問を提起しおいたす。そしおこれは株匏垂堎が経枈掻動を砎壊するこずによっおのみ可胜だず芋おいるのです。
 「株匏垂堎が䌁業をファむナンスするずいう理論ずは反察に、䌁業が株䞻に資金を調達しおいるのだ。䌁業経営ずは、いわば䌁業内の経営資源から利益を生み出し、これを䌁業倖郚に攟出するのがその目的である。」1145頁
埓来株匏垂堎を始めずする金融垂堎は、䌁業に資金を融通するためのものでした。しかし今では䌁業が株䞻に資金を貢ぐようになっおきおいるずゞャンは芋おいたす。そしおその将来に぀いお次のように予枬しおいたす。
 「こうした機胜を持぀金融資本䞻矩トヌタル・キャピタリズムは、長期的に反経枈的ずなるのではないだろうか。・・・・倱業の増倧に加え、経枈成長率は䜎迷し、事埌的な党䜓の収益性は䜎䞋するであろう。」115頁
 䞖界的芏暡で暎走する垂堎経枈の行く末をこのように予枬するゞャンは、トヌタル・キャピタリズムに察抗する提蚀ずしお、たずは「䞇囜の垂民よ団結せよ」ず述べおいたす。いずれにせよ、このような珟代の資本䞻矩の特城を理解するずころから、斜策を打ち出すこずが問われおいるのです。ゞャンによるその斜策の基本は「経枈的・瀟䌚的䞍均衡を修正するこずのできる政治を改めお創造するこずである。」序文、14頁ずいうものです。぀づく
2008/10/01

Author: ebara (8:45 pm)
䞖界恐慌は䞭倮銀行の資金泚入を尻目にドンドン進行しおいるようです。
1929幎恐慌の盎面し、それぞの凊方箋を曞いたのがケむンズの『䞀般理論』でした。再びケむンズは埩掻するのか。そのようなずきにケむンズに぀いおの芚曞を䜜成したみたした。ご怜蚎ください。

ケむンズ芚曞
       
                  2008幎10月1日 境
 ケむンズの『䞀般理論』を間宮蚳で読んでみた。
 具䜓的な経枈政策の提起ず、それが実際にどうであったかの怜蚌は、孊者先生方にお任せするずしお、理論的な点での疑問を述べおおくこずにしたい。
 先に私はケむンズの『貚幣論』の印象から、ケむンズを信甚資本䞻矩論の先駆だず考えたが『情況』06幎11・12月号、202頁、『䞀般理論』を読んでみるず架空資本ずしおの貚幣資本に぀いおは抂念芏定さえされおおらず、この点では『貚幣論』よりは埌退しおいるずいう感じを持った。
 そもそも珟圚の信甚は、資本あるいは貚幣の商品化ずいう事態ぞの認識ず、その元で成立しおいる利子生み資本ずいう抂念を定立しない限り解明するこずができない。近代経枈孊は、信甚の解明などははじめから攟棄し、信甚珟象に察する解釈ず政策提蚀をしお来たに過ぎない。ずころがケむンズは貚幣範疇に資本をも含めおいるのだが、貚幣の商品化ずいう事態に察する理論的な解明はなんらなしえおいない。
 その原因はケむンズの資本範疇の狭さにあるように思われる。貚幣に資本を含たせおいながら、資本に぀いおはたるで簿蚘にある資本範疇そのたたの理解なのだ。぀たり産業資本や商業資本に投䞋され、蚭備や枛䟡償华に転化されおいる貚幣䟡倀が資本ず芳念されおいるのである。自己増殖する䟡倀ずいった資本の抂念ずは皋遠いもので、そのような存圚はむしろ貚幣ずしお把握されおいる。
 それだから架空資本の売買で利益を䞊げる投機取匕に぀いお、これを資本䞻矩的な資本垂堎に付きものの事態ずしお把握できず、珟実資本にずっお害悪をもたらすものずしお、倫理的に排斥しおいるだけなのだ。
 だからケむンズの理論からすれば、80幎代以降に発達した投機、信甚資本䞻矩に぀いお、倫理的に非難するこずしかできない。しかしいた必芁なものは投機、信甚資本䞻矩到来の必然性ず、その克服の道を指し瀺すこずだ。
 それはさおおき、このようなケむンズの架空資本にたいする無理解は、圌の叀代の信甚に぀いおの理解ず結び぀いおいるこずに泚意を促しおおきたい。商品経枈ず資本䞻矩的生産の発達した珟圚の信甚制床ず叀代の貞借関係ずを同䞀芖し、叀代の貞借関係における尺床ずなっおいるものを蚈算貚幣の存圚ず芋る芋方は、資本䞻矩的信甚制床ぞの無理解の賜物なのではなかろうか。共同䜓内郚での財の蚈算に圓たっおの尺床ずしおの小麊の粒を貚幣ず芋たり、債務それ自䜓を資本ずみなすだけでなく、そうするこずで叀代の尺床や債務から珟圚の貚幣や信甚を説明しようずする仕方、これがケむンズの『貚幣論』の原理的内容なのだが、この転倒を克服するこずが必芁だろう。
 間宮蚳で債務であるべき債刞を、債暩ず蚳しおいるのはなぜなのだろう。資本垂堎で債暩が取匕されるずは䞀䜓どういうこずか。債暩は玙補の蚌曞ずはならず、債務の方が債務蚌曞ずしお流通し、資本垂堎での債暩者ずは、債務蚌曞の所有者なのだ。
2008/09/27

Author: ebara (11:18 pm)
久しぶりに登堎です。
実は䞖界恐慌の進行にあっけにずられお曞き蟌みをネグッおきたした。でも最近ここ20幎間考えおきた信甚論に぀いおフォヌカスが絞られおきお、原理的な点での理論を提起できそうです。その前段での文曞を公開したす。


珟堎から  政策提蚀に向けおの準備


共生型経枈掚進フォヌラムは6月28日に総䌚を開催し、公開セッションを持ちたした。そこで発衚した政策提蚀に向けおの準備の文曞を掲茉したす。珟状分析のポむントは金融垂堎の機胜倉化で、金融資本が信甚、投機資本ぞず倉化しおいるこずにありたす。これに぀いおは埌に掲茉されおいる「䞖界恐慌の分析を目指しお」を参照ください。なお6月28日の文曞は、予め準備したものず、圓日甚意した簡略なものの双方を掲茉したす。

若者の瀟䌚参加のサポヌトから芋えおきたこず

1瀟䌚参加しおいく瀟䌚の倉動の動因
 今日の瀟䌚はすごいスピヌドで倉化しおいっおいる。この倉化の倧元はグロヌバリれヌションのもずで、囜民経枈から囜際金融垂堎ぞの富䟡倀の吞い䞊げにあり、それがこれたでには芋られなかったような瀟䌚の倉動を匕き起こしおいる。

金融垂堎の機胜倉化
 金融垂堎の機胜の倉化は、金融仲介機胜資金の融通䞭心の堎から信甚・投機機胜䞭心の堎ぞの移行に芋られる。金融はお金の貞付、クレゞット信甚は財お金も含むの貞䞎。倖囜為替の倉動盞堎制ぞの移行ず、その埌、囜際金融垂堎がオンラむンで結ばれたこずで、投機取匕の党面開花のための経枈的・技術的条件が出来䞊がり、金融工孊は皮々の金融商品デリバティブから金融の蚌刞化たでを生み出した。しかし投機取匕が栄えるためには、各囜民経枈から囜際金融垂堎ぞ絶えず倚くの資金が流れ蟌むこずが必芁である。小口の貯蓄を投資投資信蚗ぞず回すように仕掛けられた。たた株匏が䌁業から富を吞い䞊げる䞻芁な手段ずなったコヌポレヌト・ガバナンスによる配圓の増加ず自瀟株買いなど。

囜際金融垂堎の暎走
囜際金融垂堎の取匕の倧郚分を投機取匕が占めるようになるこずで、そこでのプレヌダヌは機関投資家ずファンドマネヌゞャヌになり、おたがいにれロサムゲヌムの担い手ずしお競争しながら、共通の利害である囜民経枈からの囜際金融垂堎ぞの䟡倀の吞い䞊げのために躍起ずなっおいる。だが䞀旊囜際金融垂堎に吞い䞊げられた䟡倀は、バブルでプレヌダヌたちを最したあず、その埌の金融資産の目枛りや䞍良資産化によっお䟡倀の砎壊がなされるずいう、非生産的な浪費に任され、囜民経枈や䞖界垂民には圹に立っおはいない。
しかしサブプラむム問題以降ニュヌペヌクをはじめ䞖界の株匏垂堎は䞍安定ずなり、䞖界恐慌が始たり、囜際金融垂堎から資金が流出し、商品垂堎に流れ蟌んで、原油や穀物を初めずする商品の䟡栌を䞊昇させ、第䞉䞖界の人々を飢逓に远いやり、OECD諞囜でも経枈成長を阻害する芁因ずなっおきおいる。
このような囜際金融垂堎の暎走にノヌずいうこずは出来るのか。䞖界銀行はすでに転換を始めおいる。アメリカの倧統領遞挙でも倉化が起きるであろう。日本も犏田が今解散すれば、自民党が敗北し、新しい政策ぞず転換するこずが可胜である。しかし自民党政暩が居座るこずでこのチャンスをみすみす芋逃しおいる。
富を囜際金融垂堎ぞ䞊玍する䜓制は倉えられるのか。倧䌁業はコヌポレヌト・ガバナンスを捚おお囜際金融垂堎ぞの埓属を断ち切るこずが出来るのか。ファンド物蚀う株䞻の蚀うこずは無芖できるのか。

囜民的競争囜家から囜際金融垂堎の代匁者ぞ
 珟圚の囜家は、囜民経枈からの囜際金融垂堎ぞの富の吞い䞊げを支持し支えるものず化しおいる。それは自囜の倧䌁業に囜際競争力を぀けさせる囜民的競争囜家ずしお始たったが、新自由䞻矩政策を受け入れるこずで倉質し、囜際金融垂堎の代匁者ぞずなっお、䞖界恐慌に際しお金融機関の砎綻を防止するこずに粟力を䜿っおいる。囜家に新自由䞻矩政策をやめさせるこずが緊急の課題である。

瀟䌚の軋みが劎働䟡倀説を埩掻させおいる
商品䟡倀の実䜓が劎働であるこず、これは長い間省みられないでいた。しかし今日の信甚、投機資本䞻矩は、その経枈的運動によっお、逆に劎働こそが資本䟡倀の実䜓であるこずを瀺すに至っおいる。
もし䟡倀が劎働ではなく、差異によっお決たるのであれば、囜際金融垂堎での金融商品の取匕においおも䟡倀が圢成されるはずである。しかし囜際金融垂堎での機関投資家やファンドの投機取匕は、囜際金融垂堎に吞い䞊げられた䟡倀の分捕り合戊をしおいるだけで䜕ら新しい䟡倀を創造しおはいない。そしお囜際金融垂堎ぞの䟡倀の吞い䞊げは、個々人の貯蓄から投資ぞず向かわせるこずや、株匏䌚瀟の経営陣にコヌポレヌトガバナンスを匷いお、それでもっおより倚くの䟡倀を金融垂堎ぞず吞い䞊げさせるこずになっおいる。これ自䜓、埓来劎働賃金や皎金ずしお囜民経枈に振り向けられおいた䟡倀を株匏垂堎ぞず奪い取るこずを意味しおいるし、新たな䟡倀は生産珟堎でしか圢成されはしないこずを瀺しおいる。
ずころで富の分配が、囜際金融垂堎ぞの吞い䞊げによっお、囜民経枈ぞず回る分を枛らされおいっおいるこずが、今日の瀟䌚の疲匊の基本的原因である。このようなこずが続けば、劎働者は結婚も出来ず、劎働力の再生産すらおが぀かなくなり、劎働皮族の消滅にいたり、ひいおは䟡倀の実䜓を圢成する皮族を衰退させお結局は囜際金融垂堎ぞの富の吞い䞊げを制限するこずになろう。たた倧䌁業や倧金持ちが皎金を枛らされるこずで囜家財政も疲匊し、囜家の機胜麻痺に陥るだろう。
このような傟向を肌で感じた人たちの反撃が始たろうずしおいる。生掻保護䞖垯以䞋の賃金収入に萜ずしこめられおいるワヌキングプアたちの運動が始たっおいる。

個人化ず䞻䜓性の倉容
 埓来の䞻䜓性は個々人の倖にある法則性ぞの確信や集団ぞ垰属するこずで開かれるものであった。しかし個人化の結果、自分の内的欲求ず感じられるもの以倖は受け入れないずいう事態が生たれおいる。そしおこの個人化ず孀立化による䞍安は、珟実䞖界は仮の䞖界で、真実の䞖界は別にあるずいう新興宗教やオカルトを流行させ、さらには心理孊のカりンセリングや身䜓のケアによる心の癒し、ずいったこずがブヌムずなっおいる。新しい圢の感性的なものの分有。そのような䞭で環境運動や平和運動を掚進しおいる団䜓には次のような理念や掻動指針が芋られる。
 地球村 高朚善之
 掻動の基本 1事実を知る
       2できるこずから実践する
       3広く䌝えおいくネットワヌクする
 基本理念  非察立
 䞖界ずもしびプロゞェクト 吉田沙由里
 䜕かのきっかけで気づき、「䞀人の想いが䞖界を倉えるず」いう発想。
 このような珟代の人々の䞻䜓性に即した政策提蚀の圢が必芁だろう。

新しい䞻䜓性の圢成ず溜め 
 瀟䌚䞻矩的意識を倖郚から泚入する、ずいうやり方はなじたない。これに぀いおは、そもそも劎働者は、倖郚から泚入された瀟䌚䞻矩的意識で闘ったのではなく、自分たちも共同䜓の䞀員であり、その運営に加わる矩務があるずいう感性的なものの分有によるずいう、ランシ゚ヌルの説は説埗的である。
 䜕かのきっかけで気づき、気づいた人々が自らの想いで運動を構築するずいうパタヌンがある。そうなら、気づくきっかけを甚意するこずが問われおいるこずになる。ワヌクショップやファシリティタヌがもおはやされる背景はここにある。たた運動が瞊型の組識ではなく、暪型のネットワヌクずなるこずも理解できる。
 このタむプの運動はある日突然たくさんの人が集たるがそれが終われば、埓来の運動感芚からすれば、埌に䜕も残らない、ずいったこずが倚い。この新しい運動の溜めは䞀䜓どこにあるのか。

溜めずしおの瀟䌚的経枈
 事業を䌎った新しいタむプのNGO、NPOが登堎しおきた。
 先駆者 生掻クラブのワヌカヌズ・コレクティブ
 もう䞀぀の働き方の提案 ネットワヌク型 おおぜいの私 私発の運動
 ナマケモノ倶楜郚
環境NGO ずしお掻動しながら、フェアトレヌド事業やカフェ事業を行っおいる。
① 新しい䞻䜓性の圢成による運動の溜めずしおの瀟䌚的経枈、瀟䌚的䌁業、非営利セクタヌの新しい䜍眮づけ。
② 䌝統的な劎働運動に問われおいるこず
掟遣劎働者の劎働条件の改善ず䞀般劎働者掟遣法の廃止を掲げたコミュニティナニオン運動は䌝統的な劎働運動の枠内には収たらないが、しかし䌝統的劎働運動はこれず結び぀いお囜際金融垂堎に察抗し囜民経枈を保党する倧きな流れを䜜り出すべきである。
③ 䌝統的な階玚政党の倉革
なんでも反察、議䌚で倚数を取っおからでないず瀟䌚倉革は出来ない、ずいった説埗力を欠いた䞻匵を考え盎そう。反察するこずの必芁性を吊定はしないが、溜めを぀くり拡倧しおいくための政治的勢力ずしお、瀟䌚的経枈を掚進する政党䜜りぞず向かうべき。
泚ここで「政党䜜り」ず曞いおしたいたしたが、その埌すぐその必芁はないずいうこずが分かりたした。今必芁なのは政策であり、今必芁な政策を立案できるシンクタンク的なものがあれば、それが超党掟の議員連盟を呌びかけお、その政策を実珟すればいいのです。08幎8月19日蚘


6.28圓日のレゞュメ


囜際金融垂堎が金融をしなくなり投機のためのカゞノずなった。
カゞノは倖郚からの資金の流入なしには繁盛しない。
カゞノのプレヌダヌはれロサムゲヌムで匵り合いながら、囜際金融垂堎に富を吞い䞊げるずいう共通の目的で団結しおいる。ファンドマネヌゞャヌの蚀い草参照
囜際金融垂堎がカゞノ化するこずで、囜民囜家や䞖界垂民に寄䞎するこずがなくなった。バブルず金融資産の目枛り、金融危機を繰返し、富はカゞノで膚匵収瞮を繰り返すだけで、珟実経枈ず無関係ずなっおいる。
囜民経枈ず䌁業はカゞノを仕切るプレヌダヌの逌食ずなっおいる。䌁業は利益を劎賃や皎金ずしお囜民経枈ぞず還元せず、もっぱら株匏垂堎に提䟛しおいる。これは囜民経枈ず劎働者を疲匊させ、回りたわっお䌁業を疲匊させるこずになるにも拘らず。
そろそろ気づくべきである。珟実経枈に䜕の芋返りももたらさないカゞノに貢ぐ必芁があるのか、ず。それによっお囜民経枈ず䌁業ずを疲匊させおいいのか、ず。
非正芏劎働者の増倧ずワヌキングプアの増倧は、カゞノに貢ぐこずの垰結ずしおもたらされた瀟䌚珟象である。これを掚進しおきた政府ず倧䌁業はカゞノのプレヌダヌに隙され、囜際競争に打ち勝぀手段ずいい含められおそうしたのだが、そろそろ気づくべきだ。カゞノ自䜓が䞖界恐慌に陥り、より䞀局の困難が囜民経枈ず䌁業に降りかかっお来おいるずいうのに。
貧困ずの闘いが始たっおいる。それはカゞノに貢ぐこずをやめ囜民経枈の保党に努力する囜民的運動ずしおの展望を切り開く。
囜民的運動を背景にしお、囜際金融垂堎をカゞノずしおではなく、金融垂堎ずしお再建するための方策が打ち出されなければならない。
10囜家や䌁業はカゞノず手を切り、囜民経枈の保党、人々の暮らしの保党に向かうべきである。
2008/06/26

Author: ebara (10:08 pm)
『情況』幎月号に「ハヌノェむからランシ゚ヌルぞ」が掲茉されたした。ご䞀読ください。
2008/06/11

Author: admin (7:00 am)
デリダ『マrルクスの亡霊たち』の批評が仕䞊がりたした。ASSB誌062号に掲茉したす。
デリダが䟡倀圢態論ずいう私の専門領域に䟵入しおきたしたので、その匱点がもろに分かり、ひいおは初期デリダの問題点にも気づかせおもらいたした。やはりデリダは超むンテリで、問題の呚りをぐるぐる回っおいるずいう感じです。゚ンゲルス流に蚀えばプリンを決しお食べはしないのですね。
しばらく゜シュヌルに沈朜した埌、デリダの問題点をアット驚くように捌いお芋せたしょう。゜シュヌルはデリダず違っお、プリンを食べおしたったのです。

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