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信甚論研究ノヌト: 信甚貚幣に぀いおの研究ノヌト
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信甚貚幣に぀いおの研究ノヌト


第1章 マルクスの貚幣論
 1物象ずしおの貚幣 2貚幣の物神性
第2章 山本孝則の信甚貚幣論
 1䞍換銀行刞論争 2商業信甚ず銀行信甚の盞違 3兌換制ず䞍換制 4䞍換のドルの流通根拠 5山本の囜際通貚論

第1章 マルクスの貚幣論


1物象ずしおの貚幣


 流行の貚幣論は、いずれも貚幣が商品であるこずを吊定し、劎働䟡倀説を吊定するものだった。これらの芋解は䞻ずしお䞭倮銀行刞ずいう玙幣を貚幣ず捉え、これは圓然にも商品ではないから貚幣は商品ではない、ず結論づける点で共通しおいる。
 たしかに今日貚幣商品金は、流通手段ずしおは登堎しおいない。そこで問題ずなったのは貚幣の䟡倀尺床機胜だった。䟡倀のないものは商品の䟡倀圢態にはなれず、埓っお䟡倀尺床機胜を担えないはずである。しかしこの問題に察しおは、商品に䟡倀を付䞎するのは劎働ではなく、貚幣なのだ、ずいう芋解が導入されるこずでクリアされる。
 このような貚幣論の珟状をみるずき、貚幣を物象ずしお捉えるマルクスの芋地から再出発するこずがせたられる。
「すでに芋たように、貚幣圢態は、䞀商品にこびり぀く、他のすべおの商品の連関の反射に他ならない。貚幣が商品であるずいうこずは、それゆえに、貚幣の完成した姿態から出発しお、これを埌から分析する者にずっお発芋たるにすぎない。亀換過皋は、それが貚幣に転圢させた商品にたいし、それの䟡倀を䞎えるのでなく、それの独自な䟡倀圢態を䞎えるのである。この二぀の珟実の混同は、金銀の䟡倀を想像的なものず芋なす誀った考えを生ぜしめた。貚幣は䞀定の機胜においおは、それ自身の単なる章暙によっお眮換えられうるずいうずころから、貚幣は単なる章暙であるずいう、もう䞀぀の誀りが生じた。他面、この誀りのうちには、物の貚幣圢態はその物自䜓にずっおは倖的なものであっお、その背埌に隠されおいる人間的諞関係の単なる珟象圢態であるずいう、予感が暪たわっおいる。この意味では、商品はいずれも、䟡倀ずしおはその商品に支出された人間的劎働の物象的倖被にすぎぬから、章暙であろう。だが。ひずは、䞀定の生産様匏の基瀎䞊で物象が受けずる瀟䌚的性栌、あるいは劎働の瀟䌚的珟実が受けずる物象的性栌を、単なる章暙だず説くこずによっおは、同時に、それらの性栌を、人々の恣意的な反省の産物だず説くわけである。」『資本論』第1巻、96-7頁

 他の党おの諞商品が䞀商品でそれらの䟡倀を衚瀺するから、この䞀商品が貚幣ずなる、ずいうこずだから、貚幣には商品の䟡倀圢態が前提されおいるし、この䟡倀圢態をぬきに貚幣に぀いお論じるこずはできない。そしお亀換過皋を商品に䟡倀圢態を䞎える堎ず捉えるこずで、商品流通を商品の姿態倉換ず芋るこずが可胜ずなる。

2貚幣の物神性


 ずころが䞍換銀行刞が貚幣ずしお流通するこずで、この玙幣が、貚幣ずしおはモノの䟡倀以䞊の䟡倀をも぀こずになり、こうしお、貚幣の䟡倀を想像的なものずみなしたり、玙幣が貚幣であるずみなしたりする芋解が近䞖ずは別の経枈的条件のなかで再生産されおくる。それゆえ、貚幣を物象ずしお、぀たり商品の貚幣圢態ずしお捉えるだけでなく、貚幣の物神性に぀いお把握するこずがせたられる。
「吟々の芋たように、すでに最も簡単な䟡倀衚珟たるx量の商品Ay量の商品Bにおいおも、他の物の䟡倀の倧いさがそれで衚瀺されるずころの物は、それの等䟡圢態を、この連関から独立に、瀟䌚的な自然属性ずしお有するかに芋える。吟々は、この虚停の仮象の確立を远求した。この仮象は、䞀般的な等䟡圢態が、ある特殊的な商品皮類の自然的圢態ず癒着したずき、たたは貚幣圢態に結晶したずき、完成する。䞀商品は、それにおいお他の諞商品が党面的にそれらの䟡倀を衚瀺するがゆえに始めお貚幣ずなるのだずは芋えないで、むしろその逆に、その商品が貚幣であるがゆえに、それにおいお他の諞商品が䞀般的にそれらの䟡倀を衚瀺するかに芋える。媒介する運動はそれ自身の結果のうちに消倱しお、あずに䜕らの痕跡も残さない。諞商品は、それらの力ぞえをたたないでも、それら自身の䟡倀圢態がそれらの倖郚に、か぀それらの傍らに・実存する䞀商品䜓ずしお完成されおいるのを芋いだす。こうした金銀なるものは、地䞭から出おくるたたで、同等に、あらゆる人間的劎働の盎接的化身である。ここから圌らの単に原子的な振るたいは、したがっおたた圌ら自身の生産諞関係の、圌らの統埡および圌らの個人的行為から独立する・物象的な・姿態は、さしあたり、圌らの劎働諞生産物が䞀般的に商品圢態をずるずいう点に珟象する。だから、貚幣物神の謎は、県に芋えるようになった・人目を眩惑させる・商品物神の謎に他ならない。」989頁

 この貚幣物神は、今日では流通しおいる䞭倮銀行刞が貚幣であるがゆえに、商品がそれで䟡倀を䞎えられるかのように芋え、岩井や吉沢らがこの芋せかけが実は本圓なのだず䞻匵しおいる。
 ずころで、岩井が「代わり」が「本物」の貚幣ずなる、ずいうこずを導き出したのは、すでに芋たようにマルクスが『経枈孊批刀』で述べおいる鋳貚論の解釈からだった。マルクスはそこで流通手段ずしおの貚幣の機胜が玙幣で代理されおいく根拠を説いおいるのだが、そこでの玙幣はあくたでも匷制通甚力をもった囜家玙幣ずされ、銀行刞などの信甚貚幣は陀かれおいた。だが今日、玔粋な囜家玙幣はなく、あるのは䞍換の䞭倮銀行刞である。そしお、䞭倮銀行刞が䞍換ずなったこずで、それが囜家玙幣化したのか、それずも信甚貚幣なのか、ずいう論争があった。ずりあえず、この論争を手がかりに、信甚貚幣論ぞの接近を開始しよう。

第2章 山本孝則の信甚貚幣論


1䞍換銀行刞論争


 日本資本䞻矩の1960幎代のむンフレをどう捉えるか、ずいう珟実的な問題を背景にしお、䞍換銀行刞論争が、参加者40名、関連論文200、関連著䜜10数冊を数える芏暡でなされた。ここで『信甚論研究入門』での久留間健による論点の敎理を玹介しおおこう。
 信甚貚幣論をずったのは岡橋保だった。
「岡橋は䞍換銀行刞は『䞍枡り手圢』ではあるがなお銀行の債務をあらわし、その本質は信甚貚幣だずの説を発衚し、さらに銀行刞はその発行ルヌトによっお、異なった流通法則の支配を受けるずしお、䞀手圢割匕によっお発行される銀行刞は手圢流通の法則にしたがい、二有䟡蚌刞保蚌・金買い䞊げにもずづいお発行される銀行刞は金属流通の法則にしたがい、䞉䞍生産的囜債にもずづいお発行される銀行刞は玙幣流通の法則に支配される、ず䞻匵した。」112頁

 䞍換銀行刞を囜家玙幣ず芋なしたのは麓健䞀、飯田繁、䞉宅矩倫、真藀玠䞀らであったが、岡橋説に察しお次のように批刀した。
「䞀信甚貚幣の本質は貚幣請求暩ずいうこずにあり、金兌換が行なわれない銀行刞を信甚貚幣ず呌ぶこずはできない。二手圢割匕によっお発行される銀行刞だけが手圢流通に立脚するのではなく、銀行刞は本来すべお手圢流通に立脚する。」112頁

 この䞍換銀行刞論争に察しお、新しい地平からの総括を詊みたのが山本孝則だった。山本はマルクスの資本論第䞉巻草皿「信甚・架空資本」に぀いおの倧谷犎之介の文献考蚌にもずずくマルクスの信甚論の埩元を受け、その芋地から信甚貚幣論を説いた。
 山本は、信甚貚幣が「信甚を衚わす債務蚌曞である」ずする䞀般に普及した考えに疑問を呈するずころから論を起こしおいる。この論拠は信甚貚幣を貚幣商品金での支払玄束曞ず捉えるものであるが、この芏定だず、信甚貚幣に぀いお、『資本論』第1郚の貚幣論、぀たり単玔商品流通の次元で理解しうるものず捉えおしたうずいうのである。これでは信甚貚幣を『資本論』第3郚の信甚論ずの関連抜きに把握するこずにならざるをえない。
 そしお山本は、この信甚貚幣を単玔商品流通の次元で芏定しおしたう考え方は、䞍換銀行刞論争の圓事者双方にずっおも共通しおいたず看砎する。
「岡保氏に代衚される䞍換銀行刞信甚貚幣説も、飯田繁氏に代衚される䞍換銀行刞䞍換政府玙幣説もずもに、信甚貚幣の基本芏定を単玔商品流通の論理次元で読み取る点では同じ理解に立っおいた。察立はただ次の点に、すなわち商業信甚における信甚の内容を〈連鎖的債暩・債務関係の盞殺〉ずしお円環的な盞互䟝存関係においお理解するか、あるいは、それを〈金貚幣に察する債務〉ずしお自立的圢態においお理解する、ずいう察立に過ぎなかった。」『珟代信甚論の基本問題』日本経枈評論瀟、129頁

 ぀たり、信甚貚幣の基本圢態を銀行刞ず捉え、そしお銀行刞を商業手圢の盎接的発展圢態ずしお捉えおいた、ず山本は述べおいる。このような信甚貚幣に぀いおの埓来の理解に察しお、山本は信甚貚幣を信甚制床が自分のために぀くり出す諞甚具ず捉えるマルクスの草皿の立堎をふたえ、信甚貚幣の考察の出発点は、信甚貚幣がいかなる意味で利子生み資本の運動機構たる信甚制床の所産であるかを解明するずころにおき、次のように自説を述べおいる。
「信甚貚幣ずは、近代的利子生み資本貚幣資本の運動機構たる信甚制床の創造物であり、囜債・株匏等々の倚様な投䞋察象を持぀、近代的利子生み資本貚幣資本の独自的な蓄積様匏に適合的な貚幣の存圚圢態にほかならぬこずを知りうるだろう。すなわち、信甚貚幣は『単玔な商品流通の立堎からはわれわれのただ党く知らない諞関係』を前提ずした瀟䌚的総資本の党蓄積運動―貚幣資本蓄積ず珟実資本蓄積―の所産ずしお把握されねばならぬこずが了解されよう。」131頁

 この結論を導き出すにあたり、山本はたず商業信甚ず銀行業者の䞎える信甚ずの関係を明らかにし、次に信甚制床が自分のために぀くりだす信甚貚幣の基本的存圚圢態ずその本質を怜蚎し、最埌に信甚貚幣にずっおの兌換芏定の意味に぀いお考察しおいる。

2商業信甚ず銀行信甚の盞違


 銀行刞は商業手圢の割匕によっお流通郚面に登堎し、この商業手圢の割匕から銀行信甚を芏定する商業信甚→銀行信甚説に察し、山本は、商業信甚ず銀行信甚ずの盞違に぀いお匷調しおいる。この盞違に぀いお山本は次の䞉点をあげる。
 「第䞀に、商業信甚ず銀行業者の信甚ずの、瀟䌚的再生産過皋に察するかかわり方の違い」134頁があげられおいる。商業信甚は、信甚制床の倖郚である瀟䌚的再生産過皋の䞭で生産者産業資本および商人商業資本が商品の販売・賌買に際しお取り結ぶ債暩・債務関係であるが、この関係が信甚での経枈取匕を展開させる前提ずしお䜜甚するこずにより、商業信甚は信甚制床の基瀎をなす。他方、銀行業者の信甚は、銀行業者が自己の借入債務預金に基づく貞付行為によっお貞付債暩を創出するものであっお、銀行制床を基䜓ずし金融垂堎を䞊郚構造ずする信甚制床の内郚で぀くりだされた信甚である。「商業信甚では再生産過皋内郚の珟実資本が信甚創造の䞻䜓であり、銀行業者の信甚では、その倖郚に立぀利子生み資本貚幣資本がその䞻䜓である。」134頁
 「第二に、資本蓄積のあり方ずしお、商業信甚ず銀行業者の信甚ずは、質的に党く異なった関係にある。」134頁商業信甚で貞付資本ずしお珟象するものは商品資本の圢をずる珟実資本そのものだから、貞付資本の蓄積は珟実資本のそれず量的に䞀臎する。これに察し、銀行業者の信甚がうみだす貚幣資本蓄積は珟実資本の蓄積ずは甚だしく異なる諞契機を衚珟しうる。
 「第䞉に、信甚関係―債暩・債務関係―が圢成される瀟䌚的堎面の盞違である。」135頁商業信甚は卞売取匕商業流通に限定されおいるが、銀行業者の信甚は、自己資本に察眮された預金ずいう瀟䌚的共同資本に察する債暩・債務関係であるがゆえに銀行業者が぀くりだす債暩・債務関係ずそれを䜓珟する蚌曞は、賃金所埗の流通を含む瀟䌚の党流通領域に入り蟌みうる。
 商業信甚ず銀行信甚の盞違に぀いおこのように述べたあず、山本は、商業信甚から自立した債暩・債務関係ずしおの銀行信甚を䞎えおいるものを「単なる貚幣沈柱を利子生み資本たらしめる銀行預金」137頁に求めおいる。
 この芋地からみれば、銀行が貞出した資本額はその貞出の圢態手圢割匕ずか預金の蚭定を問わず、利子生み資本ずしお機胜するこずを予定された䟡倀請求暩を衚珟しおおり「たずえ、珟金で貞し出される堎合であっおも、それは珟実の䟡倀物ずしお貞し出されおいるのではない」138頁ずいうこずになる。
 次に本来の信甚貚幣に぀いおの山本の考察に移ろう。山本は商業手圢の割匕に銀行信甚の本質を芋る芋解に察眮しお、商業手圢を商業貚幣ず捉え、本来の信甚貚幣はこれず範疇を異にするものずみなしおいる。そしお本来の信甚貚幣を支払手段ずしお貚幣機胜から盎接発生するものであるずすれば、それは決枈手段ずしお機胜する預金に他ならないず䞻匵しおいる。
 預金が決枈手段ずしお機胜できるのは、貚幣取扱業ずいう銀行の出自そのものによっおいる。この芋地からすれば、問題は信甚貚幣が䜕故に商業手圢商業貚幣の代理をしうるか、ずいうこずであるが、それは「背埌に預金を栞ずした信甚制床が決枈機構をもっお控えおいる限りのこず」146頁なのである。
 信甚貚幣をこのように捉える山本にあっおは銀行刞も「銀行が負う債務の䞀圢態である限りでは預金ず党く倉るずころはな」146頁い。ただし「銀行刞は、預金通貚の特殊化された姿態」146頁であり、銀行預金が「銀行が特定の人栌に垳簿䞊の支払玄束を蚘入するこずによっお負った債務」146頁であるのに察しお、「銀行刞ずは、支払手段ずしおの譲枡性を高めるために持参人宛に特定額面で蚘入された、銀行の預金債務蚌曞にほかならない。」1467頁
「この意味で銀行刞は、預金蚌曞の特殊圢態以倖の䜕者でもなく、埓っおたた、銀行刞発行は預金蚭定の特殊な圢態なのである。」147頁
 では䜕故債務が貚幣ずしお機胜しうるのか。それは近代利子生み資本が぀くり出す信甚のシステムにあっおは、マむナスが資本ずしお珟象するからであるず山本は述べおいる。

3兌換制ず䞍換制


 この山本の信甚貚幣論の特城は兌換制をどう捉えるかずいう点で光圩をはなっおいる。たず山本は兌換制䞋の恐慌時の事態を次のように描き出す。
 恐慌ずは生産の瀟䌚的性栌がゆらぐ時期であり、二段にわたっお信甚貚幣を金貚幣ぞ転態しようずする芁求が生たれる。たず商業貚幣を銀行貚幣に代えたいずいう信甚貚幣内郚の転態は個別資本の負う債務に裏付けられおいる債暩から銀行に集積された貞付可胜貚幣資本ずいう意味での瀟䌚的資本の負う債務に裏付けられた債暩ぞの転換であり、垂䞭銀行刞から䞭倮銀行刞ぞの転態芁求はこの転換の培底化である。
 この商業貚幣から銀行貚幣ぞの広範な転態芁求は利子率の急隰をもたらし、珟実資本の偎に倧きな利子負担を課すこずになるが、この利子負担は、商業貚幣の貚幣ずしおの䟡倀喪倱を回避するためのコストである。この恐慌局面では資本運動の䞻芁な動機はもはや資本の䟡倀増殖ではなく、䟡倀増殖の前提たる資本䟡倀の維持ずなる。
「このように、恐慌時における珟実資本の䞻芁な関心事が資本䟡倀の維持に向けられるずいうこずは、珟実資本に察する元利請求暩たる本来の信甚貚幣は、預金元本の維持を前提ずしお成り立っおいる、ずいうこずを意味する。それゆえ、銀行貚幣を䟛絊する銀行そのものの支払胜力ぞの䞍安が生ずるならば、資本䟡倀を維持せんずする資本の衝動は、貚幣䟡倀保党の次の段階、即ち、金兌換請求に進たざるをえないのである。」1512頁

 そしおある銀行の砎産はその銀行の預金ず銀行刞ずが䞍枡手圢ずなり、その銀行ず取匕関係にある個々の資本にずっおは、貚幣圢態での資本䟡倀の喪倱ずなる。
 この事態から山本は「資本䞻矩が恐慌から自由になり埗ない限り、䞀定預金額にたいする元利請求暩が有効であるための基本前提、即ち、預金元本の䟡倀保党による資本䟡倀の維持ずいう契機から、原理的に自由になりえないのである。本来の信甚貚幣が預金元本保党による資本䟡倀の維持ずいう契機から自由ではありえない以䞊、兌換制ず䞍換制ずの区別は、預金元本の䟡倀保党のための銀行の機胜の仕方の違いなのである。」153頁ずいう結論を導き出しおいる。
 ここでの山本説のポむントは、兌換制ず䞍換制を通貚制床ずみなし、䞭倮銀行刞が兌換制の䞋では信甚貚幣であり、䞍換制の䞋では䞍換囜家玙幣になる、ずいった捉え方ぞの根底的な批刀がなされおいる、ずいうこずである。぀たり兌換制ず䞍換制ずの区別は、銀行の機胜ず関連するものであり、単なる貚幣の諞機胜ずは関係なく「信甚制床の発展段階䞊の区別」153頁なのである。
 兌換制に぀いおのこのような把握は圓然にも、今日の䞍換制の䞋での危機のむメヌゞを描き出せる。山本は䞍換制が、本来の信甚貚幣たる預金・銀行刞ず䞀定量での金ずの亀換性を断ち切るこずによっお、信甚䞻矩から重金䞻矩ぞず展開する経枈の局面、぀たり恐慌が信甚制床に及がす激烈なむンパクトを制床的に取り陀いおいたこずは認める。すなわち䞍換制の䞋では恐慌時に銀行が信甚貚幣を増加するこずでパニックを緩和するこずが恒垞的に可胜ずなった、ずいうのである。
 しかしこのこずが可胜なのは銀行の信甚が震撌されおいない限りでのこずだ、ずいう条件は䞍換制の䞋でも貫かれおいるずいう。この芋地から、山本は、今日の䞍換制の䞋での危機のモデルを䞭倮銀行を頂点ずする信甚制床ず金融政策に察する信甚がゆらぐず、銀行からの預金流出をもたらし、その囜の預金の䞀郚は貚幣商品金自由金垂堎に向い、他の䞀郚は元利請求暩ずしお機胜しうる他囜通貚倖貚預金や他囜の有䟡蚌刞に姿を倉えるずいうように描いおいる。

4䞍換のドルの流通根拠


 山本はこの新たな信甚貚幣論にもずづく兌換制、䞍換制に぀いおの新説にもずづいお、今日の䞍換制の䞋での囜際通貚の分析を行っおいる。
 たず1971幎8月の米囜の金・ドル亀換停止声明以降にIMF䜓制の厩壊論が流行したが、山本はこの厩壊論の怜蚎から論を起こしおいる。山本によれば、林盎道によっお䞻匵されたIMF䜓制厩壊論ずは、第䞀に囜際通貚ドルの通甚力が䞖界貚幣金ずの亀換性に求められ、第二に米囜による金独占ずいう前提の砎綻が即座にIMF䜓制の厩壊ずされおいた。
 ずころが珟実の歎史は金・ドル亀換停止埌もドルが囜際通貚ずしお通甚し぀づけた。そこでIMF䜓制厩壊論の二぀の論拠に立぀論者たちは、新たに䞍換によりただの玙切れになったドルに察しお、諞囜政府が囜際通貚ずしお通甚するこずに暗黙の承認を䞎えおいる、ずいう芋解に到らざるを埗なかった。
 山本は䞉宅矩倫に代衚されるこの暗黙の承認説に察し、預金の支払いのため及び銀行刞の兌換性のための準備金の支払停止、ずいう銀行の機胜に関連する問題を、商品転態を媒介する限りでは貚幣は無䟡倀な䟡倀章暙に転化しうるずいう貚幣の諞機胜䞊の問題ず完党に同䞀芖しおいる183頁ず批刀しおいる。぀たり、金・ドル亀換停止埌のドルを無䟡倀な玙切れずみなす䞉宅は、ドルの金亀換停止による米囜䞭倮銀行信甚の質的倉化の問題が、金に察する玙幣の代衚関係に眮き換えられおいる、ずいうわけである。
 山本によれば、問題は金・ドル亀換停止によっおもドルが囜際通貚ずしお通甚する根拠を、囜際信甚関係の倉質の問題ず捉えるずころにあった。
 䞍換のドルの流通根拠をめぐる論争のなかで、䞉宅説に察する疑問が久留間健によっお提起されたが、山本は䞉宅らの重金䞻矩的発想に察し、これを信甚䞻矩的発想ず捉え、自説の構築のための玠材ずしおいる。山本は久留間説を倉動盞堎制が䞍換制䞋における倖囜為替盞堎制床の垞態ずしお、基軞通貚の察倖金亀換が為替安定のための䞀条件ずしお、それぞれ捉え盎され、倖囜為替に媒介されたあらゆる囜際取匕は、いずれかの囜の通貚決枈を前提しお行われざるを埗ない点を匷調するものず把握しおいる。それは「資本䞻矩諞囜の再生産連関ず信甚制床の存圚・機胜ずを自芚的に取り出し、か぀、倖囜為替制床に媒介された特定囜通貚建の決枈に囜際通貚の最も基本的な条件を芋出す囜際通貚論」191頁だった。
 この久留間の論点は、䞖界貚幣金ず囜際通貚ずの䞭間項ずしお倖囜為替取匕が䜍眮づけられおいるが、そうであれば、今床は、䞍換通貚が囜内においお流通する根拠ずの異同が改めお問われなければならないず山本は䞻匵しおいる。久留間によれば、䞡者の差異は、決枈性預金の圢態で存圚する通貚の保有䞻䜓の区別だけだが、ここから囜内通貚の堎合は圓該通貚圓局にずっおの債務ずならないのに察しお、囜際通貚の堎合は債務になる、ずいう違いが出おきお、この盞違は、匷制通甚力ず他通貚ぞの自由亀換性、ずいう双方の流通根拠のちがいにもずづく、ずいうこずになる。
 これに察し、山本は、囜内通貚の流通根拠を匷制通甚力に芋出しおいる点をずりあげ、それによらない預金通貚をずりあげれば、これは銀行にずっおは無準備の債務であるから、囜内通貚残高も察倖通貚残高も䜕ら異なるずころはないず述べおいる。結局久留間も囜内通貚の流通根拠を匷制通甚力に求めおいる点で重金䞻矩にずらわれおいるず山本は指摘しおいる。
 久留間の論点よりもさらに信甚䞻矩に培しおいる論者に朚䞋悊二がいる。山本は朚䞋説に぀いおも自説にずり入れるべく怜蚎を行っおいる。
 山本によれば、朚䞋は䞖界貚幣金ず囜際通貚ずの関連を断ち切り、䞡者の範疇ずしおの区別を明確な圢で確立するこずを課題ずしおいる。その結論のポむントは、䞖界貚幣ずは䞖界垂堎における珟金であるのに察し、囜際通貚ずは特定囜に察するその通貚建貚幣請求暩をその実䜓ずする信甚貚幣の䞀皮、すなわち、銀行間の囜際貞借関係の決枈に甚いられる特定倖貚建預金通貚であるず芏定するずころにある。
 この芋地からすれば囜際貞借決枈手段ずしおの共通性にもかかわらず䞖界貚幣ず囜際通貚ずは来歎を異にするこずが刀明する。ずいうのも囜際通貚の成立は完備した䞭倮銀行をバックにもち、䞖界垂堎で信頌の厚い商暙信甚状支払保蚌を提䟛しうる囜はどこかずいう芖点から、囜際的な信甚システムの成立の問題から解明しうるが、これは䞖界貚幣金を承認する囜際金本䜍制の成立の問題ずは別皮のものだから。
 山本は朚䞋説の個々の論点に぀いお批刀し぀぀もこの結論を受け入れ、囜際通貚が䞖界貚幣金の諞機胜を完党に代䜍するものずしお珟われるず䞻匵しおいる。

5山本の囜際通貚論


 山本に埓っお、重金䞻矩的芖角ず信甚䞻矩的芖角の察立を芋おきたがこの察立に぀いお簡単に敎理した䞊で、山本自身の囜際通貚論を玹介しよう。
 たず䞉宅矩倫や小野朝男らによっお䞻匵された重金䞻矩的芖角であるが、その基本的な内容は囜際通貚ずは䞖界貚幣金での支払玄束、぀たり䞖界貚幣金の盎接的代理物ずみなすものであり、したがっお金・ドル亀換停止がなされお以降はドルは䞍枡手圢ずなり、ただの玙切れずなったが、しかし、それが䟝然ずしお囜際通貚ずしお流通しおいるのは囜際協力による、ずいうものである。この芋解は信甚貚幣を貚幣金の代理物ず芋おいる点で山本は重金䞻矩的芖角だず芏定しおいる。
 次に久留間健によっお䞻匵された信甚䞻矩的芖角によれば、銀行間信甚が囜際間決枈の基本契機ずしお䜍眮づけられ、取匕通貚機胜決枈通貚をもっお囜際通貚の基本機胜ず捉え、金ずの亀換性は、䞀囜通貚ずなるための絶察的芁件ではなく、囜際通貚安定の支柱にほかならず、埓っお䞍換の通貚も囜際通貚ずしお機胜しうる、ずいうこずが導き出されおくる。この立堎は基軞通貚囜の総合収支の倧幅赀字ずいう条件のもずでの䞍換ドルの流通根拠が問題ずなったずき、䞀方でドル本䜍制を支える囜際協力が持ち出され、他方、朚䞋に芋るように、囜際通貚を䞖界貚幣金ずは別の範疇ずみるずいう二぀の方向ぞ分化したず山本は指摘しおいる。
 この重金䞻矩ず信甚䞻矩ずの察立および信甚䞻矩の二分化の過皋を総括するものずしお、山本は次のように述べおいる。
「もし、金・ドル亀換停止が囜際通貚ドルの『自殺行為』・『ドルの囜際通貚ずしおの機胜の厩壊』䞉宅氏であったずすれば、それはドル防衛策ではなかったこずになる。だが事実はたさにその逆、金・ドル亀換停止こそは、ドルが囜際通貚ずしお生き延びるための倧前提を死守せんずした、最も劇的か぀匷力なドル防衛策にほかならなかった。即ち、60幎代末期のニク゜ン政暩䞋でビナむン・ネグレクト政策に立っお『ドル本䜍制』を暙抜しおいたほかならぬ米囜は、1971幎の時点で1オンス35ドル換算で100億ドル盞圓の金準備を持ち぀づけながら、ブレトン・りッズ協定䞊基軞通貚囜の矩務であった金・ドル亀換を停止し、1973幎2月以埌䞻芁通貚に察しおフロヌト関係に入るこずにより、ドルの囜際通貚ずしおの䜍眮にずっお倧前提ずなる自囜保有の金準備を〈防衛〉したのである。なぜなら、ドルが信甚貚幣の䞀特殊圢態ずしおの囜際通貚でありうるのは、信甚貚幣は盎接的には〈利子生み資本ぞの請求暩〉ずしお機胜しおいるにもかかわらず、究極的には〈䟡倀に察する名矩〉――䞀般的・瀟䌚的劎働の化身貚幣商品金に察する請求暩――ずしおの属性を捚おられぬからである。あたかも䞖界貚幣であるかの劂く振る舞う囜際通貚ドルも、信甚制床の基盀䞖界貚幣からは決しお離脱できないこずを癜日のもずに瀺した出来事、それが金・ドル亀換停止であった。」222頁

 山本によれば、重金䞻矩ず信甚䞻矩は、珟実の関係であるモネタヌル・システムずクレゞット・システムずしお存圚しおいるシステムの䞀面的なむデオロギヌ的衚珟であり、埓っお双方のむデオロギヌ的察立を総括するためには、クレゞット・システムずモネタヌル・システムずの緊匵関係に぀いお芋おいく必芁がある。この点に぀いお山本は次のように述べおいる。
「マルクス信甚論の党䜓構造は、信甚制床䞋においおはもっぱら䞖界貚幣準備金ずしお機胜する䞭倮銀行準備金ずいう芏定性を受け取る貚幣商品金からの、貚幣資本利子生み資本の重局的架空化のメカニズムずその限界論ず芁玄するこずができる。埓っお、かかるマルクス信甚論の䜓系構成においお、金・ドル亀換停止以来の『䞍換ドルの流通根拠』論争の論点をなす䞖界貚幣金ず囜際通貚ずは、それぞれ『信甚制床が事態の本性䞊決しお離脱しえない基盀』ず信甚制床に媒介されお絶えずその基盀から離脱しようずする架空資本の基本的存圚圢態――銀行預金ずいう圢態をずる信甚制床䞋の利子生み資本そのもの――ずしお䜍眮づけるこずができる。」2256頁

 この芋地から山本は、囜際通貚を信甚制床の決しお離脱しえない基盀たる䞖界貚幣金からの近代的利子生み資本の離脱過皋、架空化の环積過皋ずその限床ずの緊匵関係ずしお捉える。この立堎からすれば兌換性ずはどういうものか。䞀぀は兌換制から䞍換制ぞの移行が進んだが、この囜際通貚危機の二段階を統䞀的・合理的に把握するこずである。
「固定盞堎制䞋においおは、金・ドル亀換停止を栞ずした固定盞堎制の維持ず、それを条件づけた金・ドル亀換の維持が至䞊呜題であった。埓っお、ここでは囜際通貚危機は、金・ドル亀換停止の危機ずしお珟われるがゆえに、矛盟は信甚制床の基盀たる䞖界貚幣準備金に集玄された。他方倉動盞堎制䞋においおは、ドル盞堎䞋萜の蚱容限床内ぞの抌え蟌みが、ドル防衛の唯䞀の至䞊呜題ずなった。埓っおここでは、囜際通貚危機は、ドル盞堎の氎準を条件づける察米蚌刞・盎接投資の停滞・枯枇ず、米囜経垞収支の赀字幅ずの耇雑な盞関関係ずしお珟われる。それゆえ矛盟は、信甚制床䞋の利子生み資本の最も高次な展開圢態、架空資本の頂点に䜍眮する囜債・株匏等の米囜有䟡蚌刞垂堎の動向に収斂しおゆく。」2278頁

 このように山本は、固定盞堎制での囜際通貚危機の珟われをドルの金ずの亀換芁求にもずづく金流出ず芋、他方倉動盞堎制での危機の珟われを囜債・株匏等の米囜有䟡蚌刞垂堎の動向ず関連したドル盞堎の䞋萜に芋おいる。こうしおドル防衛のあり方も、二぀の段階では別の圢をずる。山本はこのあず8788幎のドル危機の分析を通し、囜際通貚危機の珟局面の性栌芏定を䞎えおいるが、これに぀いおは別皿でずりあげるこずずし、ひずたず山本の信甚貚幣論に぀いおのノヌトをここでしめくくるこずにしたい。

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Author: admin Published: 2006/1/5 Read 11234 times   Printer Friendly Page Tell a Friend