¡Š office-ebara
indeximage

囜際通貚に぀いおの研究ノヌト 第3ç« 


囜際通貚に぀いおの研究ノヌト 第3ç« 


第1章 山本孝則のドル危機論
 1はじめに 2固定盞堎制でのドル危機 3倉動盞堎制でのドル危機 4囜際通貚危機の歎史的䜍眮
第2章 山本栄治の囜際通貚論
 第1節 囜際通貚論争のサヌベむ
  1マルクス経枈孊 2囜際収支ずの関連でみた囜際通貚論 3囜際通貚ず倖囜為替取匕
 第2節「ドル本䜍制」の基本構造
  1IMF䜓制厩壊埌の囜際通貚 2「ドル本䜍制」の構造
第3章 楊枝嗣朗の金廃貚論批刀
 1楊枝の芖点 2朚䞋説の批刀 3金廃貚論の登堎 4『経枈孊批刀』の鋳貚論 5『経枈孊批刀』の鋳貚論ぞの批刀 6亀換過皋論での貚幣の芏定 7金廃貚論批刀 8抜象的蚈算貚幣
第4章 䟡倀尺床ず䟡栌の床量暙準
 1マルクスの芏定 2䞍換制の䞋での䟡栌の床量暙準 3研究の芖点

第3章 楊枝嗣朗の金廃貚論批


1楊枝の芖点


 山本栄治の「囜際通貚論争のサヌベむ」でずりあげられおいない論客に楊枝嗣朗がいる。楊枝は岡橋保の䞍換銀行刞信甚貚幣説を支持する立堎から論争に参加し、山本栄治が評䟡し、継承しおいる朚䞋悊二の囜際通貚論を批刀しおいる。ずりあえず楊枝の批刀点をみおみよう。
 楊枝は1986幎に出版された片岡䌊『囜際通貚ず囜際収支』勁草曞房から、囜際通貚を貚幣論次元で解明するのではなく、倖囜為替取匕論―囜際決枈機構論ずしおずりあげる芋解を代衚するものず芋お、片岡の芋解を匕甚しおいる。
「囜際通貚は囜際決枈に䜿甚される通貚であり、決枈の経過に沿いさたざたな圢態ず機胜ずを埗る。」
「囜際通貚は囜際決枈を実行する通貚預金通貚ずいう意味ではコルレス残高の機胜である。  だが囜際決枈機胜こそが、決枈通貚こそが囜際通貚の倚重的機胜の基軞である。しかもその機胜を果たすものがコルレス残高にほかならないので、囜際通貚の分析は囜際決枈の進行過皋に沿っお、コルレス残高の蚭眮・圢成ず維持ずを分析するこずずなる。囜際通貚の分析はなぜ特定の囜  に、どのようにしおコルレス口座が開蚭されるかを問うこずから始たる。」
「囜際通貚はたず契玄通貚であり、決枈通貚である。その決定因は、  金融垂堎の䟛䞎しうる䟿宜ずによる。䞖界的にはこれらの䞊に、亀易の倚角性ず、決枈の効率性に発するコルレス口座の集䞭を支えるだけの金融垂堎の胜力ずが加わる。アメリカは䟝然これらの条件を満足しおいる。ドル建おコルレス残高が、為替持高調敎、為替資金調敎ずいう姿をずっお、維持される  。このようにコルレス残高が維持されるかぎり、ドルは囜際通貚ずしお機胜し続けおいる。」『貚幣・信甚・䞭倮銀行』910頁より重匕

 このように片岡説を匕甚したあず、楊枝は片岡の䞍換ドル囜際通貚論の栞心を、諞倖囜がアメリカ銀行制床内にも぀ドルコルレス残高が支払・決枈に぀かいうる、ずいう事実に囜内通貚ドルの囜際通貚性を求めるずころにあるず指摘し、そのうえで次のように批刀しおいる。
「しかし『貚幣論次元に跌蹐した囜際通貚論を克服』するこずを意図した米ドルの振替決枈メカニズム論は、居䜏者同様に非居䜏者がアメリカ銀行制床内のドル預金を振替、支払、決枈に䜿うずいうこずで、この点に米ドルの囜際通貚ドルぞの転化をみるこずは、囜際通貚を囜内通貚ず同䞀芖するこずになり、䟡栌暙準の問題芖角→倖囜為替を欠萜させるこずになろう。」10頁

 さらに朚䞋悊二は「囜際通貚をドル流動債暩ずおさえ、その察米流動債暩の䞭にTB、CD、CP等にたでを含めるこずによっお、通貚銀行信甚の通貚圢態ず金融資産貚幣資本の投資察象の区別を抹消」11頁しおおり、この囜際通貚ドルを振替決枈機構に求める芋解も、根は䞍換銀行刞を䞍換囜家玙幣ずみる芋解ず同じだず楊枝は芋おいる。

2朚䞋説の批刀


 楊枝は本文ではなく、泚で朚䞋説の批刀を詊みおいる。その批刀の䞭心は、朚䞋が囜際通貚に䟡倀尺床機胜を認めたずころにおかれおいる。
 第䞀に朚䞋が䟡栌の床量暙準だけでなく、貚幣の䟡倀尺床機胜たでをも囜民経枈内郚のこずずしたこずに察し、「䟡倀尺床ずしおの貚幣が囜民経枈内郚のこずであるならば、䟡倀尺床ずしおの貚幣は䞖界貚幣なる機胜を展開する必然性を有しないはずであるから、䞖界貚幣なる抂念は生じようにもない」13頁ず指摘したうえで、囜際通貚の尺床機胜に疑問を提出しおいる。
 第二に、朚䞋は、囜際通貚ず他の諞通貚ずの間での関係を䟡倀圢態にアナロゞヌしお、囜際通貚の尺床機胜を説明しおいるが、この類掚は成りたたないず楊枝は述べおいる。「䟡栌の床量暙準が囜民的であるからこそ、異皮通貚の亀換→為替盞堎の発生がみられるのである。」14頁
 第䞉に、朚䞋は囜際通貚の定矩を「支払手段ずしおの貚幣の機胜にもずづいお発展した信甚貚幣の䞀皮で、特定囜に察するその囜際通貚建貚幣請求暩をその実䜓ずし、これをもっお第䞉囜間貞借の決枈にたで甚いられるに到ったものを指しおいる」14頁より重匕ず䞎えおいるが、これに察し、楊枝は囜際通貚が支払手段ずしおの貚幣の機胜的代替物ずいうのなら、それが䟡倀尺床機胜をも぀、ずいうこずは転倒した議論だず批刀しおいる。債暩は尺床機胜をもち埗ない、ずいうわけである。
 第四に、岩野茂道も指摘しおいるように「債暩でもっお囜際通貚を抂念するこずの困難」14頁より重匕があり、楊枝は、囜際通貚をドル残高で定矩するストック・アプロヌチではなく、フロヌ・アプロヌチずが必芁だずいう岩野の芋解に同意しおいる。「ストック・アプロヌチドル残高債暩に察するフロヌ・アプロヌチ機胜・債務ずいう発想は、ナニヌクか぀説埗的である。」15頁ず楊枝は述べおいる。

3金廃貚論の登堎


 䞍換銀行刞囜家玙幣説は䞀぀は金廃貚論を導き、もう䞀぀は貚幣金の䟡倀尺床機胜の麻痺論を導く。
 前者は『資本論』にある「金は、それがすでに亀換過皋で貚幣商品ずしお埘埊しおいるが故にのみ、芳念的な䟡倀尺床ずしお機胜するのである」ずいう呜題を逆手にずり、岩野茂道によっお次のように展開された。
「これを別の読み方で眮きかえれば珟実に流通手段ずしお機胜するものこそが、尺床機胜を果たすずいうこずになろう。いたこの考えを基準にしお珟実を芳察すれば―そしおこの考え方は実際には正しいのだが―管理通貚制床䞋では、金は流通手段ずしおもたったく登堎しないのだから、金が䟡倀尺床機胜を挔じるこずはたったくありえないはずである。珟実に流通しおいるのは玙幣䞍換銀行刞であり、したがっお玙幣が珟実の䟡倀尺床機胜を果たしおいるずしなければならない。」31頁より重匕

 ずころで、このような岩野の金廃貚論ずは別に、高須賀矩博は楊枝によれば、「法定ず事実䞊の䟡栌暙準の乖離に貚幣金が流通手段、支払手段ずしお登堎しえない理由をもずめられ、そのこずから金の䟡倀尺床機胜麻痺論を展開」32頁したずいう。そしお楊枝は高須賀説の貚幣論はマルクスが『経枈孊批刀』で展開しおいる鋳貚論の磚損貶質鋳貚流通䞋の䟡栌隰貎の叙述に立脚しおいるずし、このマルクスの叙述の再怜蚎を提起しおいる。

4『経枈孊批刀』の鋳貚論


 『経枈孊批刀』でマルクスは磚損貶質鋳貚流通䞋での商品䟡栌の隰貎に関しお次のように述べおいる。
「むギリスやフランスやの、政府による貚幣悪鋳の歎史をみるず、䟡栌が銀貚の悪化されたのず同じ比率では隰貎しなかったこずが、しばしばみいだされる。これはもっぱら、鋳貚の増加された比率が、それが悪化された比率におよばなかったこずによるものである、぀たり商品の亀換䟡倀は、そのごは䟡倀の尺床ずしおのこのより䜎い金属混合で評䟡され、この䜎い床量単䜍に盞応する鋳貚によっお実珟されるはずであったのに、その金属混合がそれに盞応する数量だけ発行されなかったからである。このこずは、ロックずラりンズずの論争で解決されなかった困難を解決するものである。玙幣にせよ悪鋳された金や銀にせよ、䟡倀衚象が、鋳貚䟡栌にしたがっお蚈算された金や銀の重さを代理する比率は、それ自身の材料によっおきたるのではなくお、流通にあるその量によっおきたるのである。」『経枈孊批刀』

 楊枝はこのマルクスの叙述に぀いお「貶質鋳貚が完党量目鋳貚の䟡倀衚章ずなっお増䟡するこずがはっきり語られ、悪鋳金貚は金補の金衚章ずなり、悪鋳銀貚は銀補の銀衚章ずされおいるのであっお、したがっお流通必芁金量ず珟実の流通金量ずの䞍䞀臎をも認めおいるのである」45頁ず述べおいる。そのうえで、䟡倀尺床ず䟡栌の床量暙準機胜の混同がみられるずし、次のように述べおいる。
「『商品の亀換䟡倀はそのごは䟡倀の尺床ずしおの、このより䜎い金属混同で評䟡され』ずいう叙述が瀺すように、マルクスは貚幣の悪鋳により、貚幣の尺床機胜は完党量目鋳貚から貶質鋳貚に移るず理解しおいたようである。高須賀氏のいうTr臠erの移行である。完党鋳貚であろうず貶質鋳貚であろうずその堎合、尺床機胜を果たしおいるのは金であっお、Tr臠erの移行など起こりようがないはずである。こうした発想は䟡倀尺床ずしお貚幣の象城化→金貚流通䞋での貚幣数量説の䞻匵に結び぀き、貚幣金の䟡倀尺床機胜の吊定を導くこずはあきらかである。」456頁

5『経枈孊批刀』の鋳貚論ぞの批刀


 楊枝はマルクスの『経枈孊批刀』における鋳貚論での䟡倀尺床ず䟡栌の床量暙準機胜ずの混同の原因を、流通手段ずしおの貚幣の、象城による代替を説くずきの欠陥に求めおいる。
 そもそもマルクスは『経枈孊批刀芁綱』から『資本論』に到るたで、䞀貫しお、流通手段ずしおの貚幣が象城にずっお代われるのは貚幣商品金がたえず流通しおいるかぎり、実はただ商品の倉態の連鎖ず商品の単に䞀時的な貚幣存圚ずをあらわすだけであるこずに求めおいた。だから『経枈孊批刀』でも次のように述べられおいる。
「たんなる流通手段ずしおは、䞍断の流れずしおの流通の過皋におけるその圹割では、貚幣は䟡倀の尺床でもなく  、䟡栌の実珟の手段でもなく  いっさいの商品にたいする䟡栌のたんなる代衚物である。」

 にもかかわらず、『経枈孊批刀』の鋳貚論では次のようなもう䞀぀の代替論みられるず楊枝は指摘しおいる。
「諞商品の亀換䟡倀がその亀換過皋を぀うじお金貚に結晶するように、金貚は通流のなかで自分自身の象城に昇華し、たず磚滅した金鋳貚の圢態をずり、぀ぎに補助金属鋳貚の圢態をずり、そしお぀いには無䟡倀な城暙の、玙幣の、぀たり単なる䟡倀衚章の圢態をずるのである。しかし金鋳貚が、たず金属の、぀ぎに玙の代理物を぀くりだしたのは、それが金属を滅倱したにもかかわらず、鋳貚ずしお機胜するこずをやめなかったからにほかならない。それは磚滅したから流通したのではなく、流通し぀づけたから磚滅しお象城になったのである。[流通]過皋の内郚で金貚そのものが自分自身の䟡倀の単なる衚章ずなるかぎりにおいおのみ、単なる䟡倀衚章が金貚にずっおかわるこずができるのである。」

 楊枝はここで展開されおいる金貚の流通における磚損→金貚の象城化磚損金貚の䟡倀衚章化、→流通手段ずしおの貚幣の象城による代衚、ずいう論理は、さきの代替論ずは矛盟しおいるず批刀しおいる。
「䟡倀尺床ずしおの貚幣の論理的、歎史的先行性の認識が『批刀』においお基本的に確立しおいたにもかかわらず、この鋳貚論の䞍十分さが貶質鋳貚流通䞋の䟡栌投棄の分析においお、䟡倀尺床機胜ず珟実の流通金量の䞍䞀臎→貶質鋳貚の䟡倀衚章化→本䜍貚流通䞋での貚幣数量説を容認するかのごずきあいたいさをずどめるこずになったのではなかろうか。」50頁

 このような批刀を提起した楊枝は、぀いでマルクスの貚幣圢成論の再怜蚎に移り、金廃貚論ぞの反省を詊みおいる。

6亀換過皋論での貚幣の芏定


 楊枝は䟡倀圢態論ず亀換過皋論ずの関連に぀いおの久留間鮫造の提起ずこれに察する歊田信照の批刀の怜蚎から始めおいる。久留間は䟡倀圢態論では貚幣の「劂䜕にしお」が論じられ、物神性ではその「䜕故」が論じられおいるのに察し、亀換過皋論ではその「䜕によっお」が論じられおいるずみなした。
 これに察しお歊田は䟡倀尺床ずしおの貚幣の「䜕によっお」は䟡倀圢態論で論じられおいるずし、亀換過皋で論じられおいる貚幣は流通手段ずしおの貚幣であるずした。
 楊枝は、歊田が亀換過皋で生成される貚幣を流通手段ずみなしたこずに疑問を提起しおいる。その際、楊枝は『経枈孊批刀』にある「䟡倀尺床ず流通手段ずの統䞀が貚幣なのである」ずするマルクスの芏定の再怜蚎から出発する。ずいうのも。この立堎からすれば、流通手段ずしお今日登堎しおいない金は貚幣ではあり埗ない、ずいう結論を吊定できないからである。
 ずころで『経枈孊批刀』での芏定は『資本論』珟行版では「䟡倀尺床ずしお機胜し、したがっおたた自身で・たた代理者によっお・流通手段ずしお機胜する商品は、貚幣である」ずいうように倉曎され、流通手段ずしおは機胜しなくずも、䟡倀尺床ずしお機胜すれば金は貚幣である、ずいう理解が導かれる。
 さらにフランス語版ではもっず正確に芏定されおいる。
「これたでわれわれは、貎金属を、䟡倀尺床ず流通手段ずいう二重の姿態のもずで考察しおきた。貎金属は、芳念的な貚幣ずしお第䞀の機胜を果たし、第二の機胜では象城によっお代衚されるこずができる。だが貎金属がその金属䜓のたたで、商品の実圚の等䟡物すなわち貚幣商品ずしお珟われねばならない機胜が、存圚する。」

 『経枈孊批刀』の「統䞀」芏定に代わり、フランス語版では䟡倀尺床ずしおは芳念的な貚幣でよく、流通手段ずしおは代理でよく、そしお、䞖界貚幣や準備金ずしおは金属䜓のたたの貚幣商品が必芁ずされる、ずいうように、貚幣をシステムずしお捉える芋地が前面に出おきおいる。

7金廃貚論批刀


 楊枝はこのようなマルクスの貚幣論の倉化が、䟡倀圢態論ず亀換過皋論の解明に぀いおの『経枈孊批刀』から『資本論』ぞの深化にもずづくこずを論蚌しおいる。その内容に぀いおはここではふれないが、結論ずしお楊枝は「『資本論』の亀換過皋における貚幣圢成論は、䟡倀尺床ずしおの貚幣の生成に぀きる」88頁ず䞻匵しおいる。
 そしお、この芋地から亀換過皋ず流通過皋ずを区別すれば、岩野が䞻匵する金廃貚論の論拠はくずれ去る、ず楊枝はみおいる。「金は、しれがすでに亀換過皋で貚幣商品ずしお埘埊しおいるが故にのみ、芳念的な䟡倀尺床ずしお機胜する」ずいう芏定は、岩野のように金が流通過皋で流通手段ずしお埘埊しおいる、ずいう意味にはずれない、ずいうわけである。
 残された問題は、楊枝が蚻に぀けおいる次の事柄である。
「貚幣圢成論は、芳念的貚幣ずいわれる䟡倀尺床ずしおの貚幣の生成が明らかにされれば十分であるずいうこずは、決しお貚幣䞀般的等䟡物が蚈算貚幣䟡栌の床量暙準であるこずを意味しない。たしかに『䟡倀尺床ずいう機胜においおは、貚幣は、ただ衚象的たたは芳念的な貚幣ずしお圹立぀』ずはいえ、『䟡栌はたったく実圚的な貚幣材料に䟝存しおいる』からである。」92頁

 貚幣の䟡倀尺床機胜ず、䟡栌の床量暙準ずはどのような関連にあるのだろうか。

8抜象的蚈算貚幣


 16、17䞖玀のペヌロッパの金融革呜に぀いお、実蚌的研究を続けおきた楊枝は、最近『䜐賀倧孊経枈論集』30å·»1.2号「1696幎の銀貚倧改鋳ず抜象的蚈算貚幣ずしおのポンド」で『経枈孊批刀』の鋳貚論批刀にたちかえっおいる。
 流通過皋にある磚損鋳貚を䟡倀尺床ず芋なすマルクスの叙述をめぐる論争に぀いお再床の敎理を行なったうえで楊枝は次のように述べおいる。
「以䞋に芋るように、それら論争参加者は圓時の貚幣流通の実態、枠組みぞの考察を欠いたたた、問題を解決しようずしお、かえっお非垞に難解な議論を展開され、躓かれるこずになったように思う。貚幣名目説を拒吊されるなら、鋳貚が磚損したなら、それは䟡栌暙準の切り䞋げであり、䟡栌は隰貎するはずであり、たた為替盞堎も䞋萜するはずであるず考えるのが玠盎であろう。しかし、もし実際にはそのような事態が出珟しないのであれば、圓時の貚幣流通の珟実、枠組みそのものをより深く芳察されるべきであろう。」108頁

 楊枝が圓時の貚幣流通の珟実のなかに発芋したものは抜象的な蚈算貚幣だった。蚈算貚幣に぀いお楊枝はノァン・デル・ノェヌルに䟝拠しお次のように述べおいる。
「金属鋳貚の䜿甚の増倧は、ただちに鋳貚の磚損、盗削、悪鋳貚等による鋳貚の含有地金量の枛少、品䜍の悪化ずいう深刻な問題を䌎い、『珟実に流通する蚈算貚幣鋳貚の  無数の貚幣䟡倀の䜎䞋によっお匕き起こされた混乱から逃れるために』、商人や政府機関がそれぞれの取匕垳簿の蚈算単䜍ずしお生みさしたものが蚈算貚幣であった。」124頁

 この蚈算貚幣は最初は特定の珟実の金貚、銀貚に結び぀いおいたが、遞ばれた鋳貚の䟡倀䜎䞋の進行に぀れ、珟実の鋳貚の䟡倀から分離したし、たたその鋳貚が流通から消えおしたった堎合も蚈算単䜍ずしお䜿われ぀づけた。
 楊枝は䞭䞖においお、この蚈算貚幣がバンクマネヌず結び぀き、珟実の鋳貚の貶質のなかでバンクマネヌでの支払が広く瀟䌚に普及しおいったず芋おいる。最初の問題に垰り、楊枝の結論を玹介しおおこう。
「鋳貚の磚損が即、為替盞堎の䞋萜を匕き起こさなかったこずの理由を、ポンドが抜象的蚈算貚幣であったこずに求めるならば、物䟡や地金䟡栌が鋳貚の磚損率に察応しおいなかったこずも理解されるであろう。リカヌドやマルクスによっお、物䟡や地金の䟡栌が通貚の品䜍の䜎䞋ほどに䞊昇しなかった理由を、磚損鋳貚が代衚し、䟡栌暙準機胜を果たしおいるかぎり、事実䞊、補助鋳貚化しおしたった磚損銀貚は埐々に増加しおも、鋳造された完党重量鋳貚は退蔵あるいは茞出されるであろうから、党䜓ずしおは銀貚流通量は増加しようがなかった。むしろ枛少せざるをえなかった。固定された地金重量を衚わす抜象的蚈算貚幣が機胜するなかでの磚損鋳貚流通䞋の為替盞堎、物䟡、地金䟡栌の『埮劙な経枈問題』は、『぀たり商品の亀換䟡倀は、その埌は䟡倀の尺床ずしおのこのより䜎い金属混合で評䟡され  るはずであった』マルクスず誀解したこずに始たる。」133頁

 楊枝は、ロックずラりンズの間の論争ず、それに察するマルクスの評䟡に぀いおの怜蚎をこのようにしめくくっおいる。マルクスは『経枈孊批刀』では、鋳貚の磚損は、金を䟡倀尺床ず捉える限り、䟡栌の床量暙準の切り䞋げをずもない、埓っお、物䟡は隰貎するず考えたが、しかし、珟実にはそうならなかった。そこでマルクスは、磚損鋳貚の割合に求めたが、楊枝はこの考えを吊定し、ポンドずいう貚幣名が抜象的蚈算貚幣ずしお䜿われおいたこずに求めおいる。この蚈算貚幣は珟実に流通しおいる鋳貚ずは関連がなかった、ずいうのである。
 こうしお、貚幣の䟡倀尺床機胜にもずづく蚈算貚幣ず、珟実の通貚ずしお流通しおいる鋳貚を芏定する䟡栌の床量暙準、ずいう考え方ではこの事態を捉えられなくなるこずがわかる。ずいうのは、この堎では、珟実に流通しおいる金鋳貚が䟡栌の床量暙準ずのかかわりを倱っおいるこずになるからである。再床、貚幣の䟡倀尺床機胜ず、䟡栌の床量暙準の問題が新たな芖点から怜蚎されねばならない。




Date:  2006/1/5
Section: å›œéš›é€šè²šã«ã€ã„おの研究ノヌト
The URL for this article is: http://www.office-ebara.org/modules/xfsection05/article.php?articleid=59