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協同組合運動研究会の術語集 はじめに


協同組合運動研究会の術語集 はじめに


協同組合宣言起草委員会 2000.6.5

はじめに
第1章 商品とは何か
 1)商品の使用価値について
 2)お金(貨幣)について
 3)商品から貨幣が生れる
 (1)財の商品化とは (2)商品化の裏面にある共同行為
第2章 商品の価値形態と貨幣
 1)商品の貨幣性-価値形態の秘密-
 (1)市場経済とは何か (2)商品とはなにか (3)商品の社会性 (4)鏡のたとえ
 2)価値形態と貨幣
 (1)商品の価値形態の発展 (2)商品世界での統一的秩序 (3)秩序形成における困難 (4)意志支配の条件 (5)抽象化の二つの様式 (6)存在の様式と思考の論理の不一致 (7)判断形式の特質
 3)商品・貨幣はなくせるか
 (1)物象化と物神性 (2)商品の共同行為 (3)本能的共同行為 (4)商品・貨幣の廃絶とは (5)新たな文化圏とネットワークの意味
第3章 文化知の方法
 1)科学知の問題性
 2)科学知批判の方向性
 3)文化知のイメージ
 4)関係の捉え方
 5)価値形態の解読
 6)価値形態の秘密と謎
 7)価値形態論の方法の抽出
 8)文化知の方法

はじめに


 生協は商品を取り扱っています。そしてこの商品の使用価値は既成の市場では得られなかったものでした。生協の組合員が生産者のパートナーとなって、もう一つの経済システムをつくり出すことで、自分たちの欲しい使用価値をもつ商品をつくり出してきたのでした。
 この過去の経験から、私たちは商品を変えていくことが社会の仕組みを変えていくことであることを学びました。安全で安心な使用価値をもった商品を生協が開発することで、この動きは世の中に波及していき、最近ではスーパーや百貨店でも有機、無農薬、省農薬の農産物を置くようになってきました。生協がもう一つの経済システムをつくることで、既成の市場の動向がかわっていったのです。

 90年代中ばから遺伝子組み換え食品の輸入が始まり、また時を置かずして、従来から研究者の間で指摘されていた環境ホルモンの害が社会的に認められました。この時点で生協は、従来の石けん運動や反原発の運動とは異なった課題に直面したのでした。遺伝子組み換え食品が表示なしで輸入されてしまえば消費者は選択できません。また環境ホルモンは、次世代、次次世代の形成を不可能とする、ということで、従来の毒物についての考え方をすっかり変えてしまいました。

 これらの問題が私たちにつきつけた課題は、もはや既成の市場のシステムを改善すればそれでいい、ということでは通用せず、もう一つの経済システムを軸にした新たな社会形成を目ざさなければならない、ということでした。協同組合地域社会という目標が、単なる目標ではなく、現実の課題となってきたのです。
 この新たな課題に直面して、私たちはあらためて、社会とは何か、言語とは何か、意識とは何か、自然とは何か、環境とは何か、といった、従来あまり疑うことなく前提にしていた諸問題について考えなおさざるを得なくなりました。

 研究会ではこれらの諸問題について考えなおしていく際に、生協運動のなかで一番なじみのある商品を手がかりにします。商品とは人間の労働生産物が受けとる社会的関係ですが、商品について考えることで、人間の社会関係一般についての分析の方法を明らかにします。
 そして、この方法を言語に適用してみます。そして言語の秘密が明らかに出来れば意識についての理解も進み、科学などの社会的意識形態の意味が判明してくるでしょう。
 このように人間の社会についての解明が進めば自然と人間というテーマを捉えかえすことが可能となります。自然や環境について考えなおし、自然と人間とのつながりを明らかにすることで人間の社会の問題点がつき出されてくるでしょう。資本家的生産と信用制度について考えていくことで、協同組合運動が解決していかなければならない課題を示すことが可能となるでしょう。

 ということで、2000年度の研究会は、商品や言語や意識や科学といった言葉の意味を考えなおし、新たな知見をまとめることを課題とします。




Date:  2006/1/5
Section: 協同組合運動研究会の術語集
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