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資本蓄積と階級権力の関係について

3:Re: 新自由主義
megumi 01/14 02:41
田中さんは、こう質問をされました。
>ハーヴェイの『新自由主義』において、新自由主義は資本蓄積の再活性化にはあまり有効でなかったが、階級権力の回復には大いに効果があった、と述べています。経済成長が低成長であることが前半部分の論拠であるのですが、ではなぜ資本蓄積が低調であるままなのに、資本家の権力が増大したのか、という疑問が生じます。

しかし、榎原さんの紹介されているハーヴェィの一文にこうありました。
「新自由主義化は、グローバルな資本蓄積を再活性化させる上ではあまり有効ではなかったが、経済エリートの権力を回復させたり、場合によっては(ロシアや中国)それを新たに創出したりする上では、目を見張るような成功を収めた。」(32頁)
この点を、榎原さんは、こう代弁したのでした。
「新自由主義者はあからさまな階級闘争を被支配階級に対して仕掛けて自らの階級権力を回復したというのが基本的主張でしょう。」

イギリスでの新自由主義の採用など「サッチャー革命」と表されますので、榎原さんに私は賛成するのですが、しかし、どうも私にはこのやり取りでは、田中さんが納得できないように思えるのです。
例えば日本での中曽根行革による、国鉄解体・民営化=国労・総評解体など、一部を除いて新自由主義であるとの認識が無く、新自由主義は、郵政民営化をした小泉からとの認識が多数を占めています。
このような多数派意見への、批判を自らのものにすることが問われていると思うのです。そのためには、階級闘争の総括として新自由主義との戦い方を学ぶことが必要です。
ベネズエラでは、IMFの押し付ける構造改革に抗する民衆の意見を代弁する形でチャベスが登場しました。その経過を示したのが次の本です。
『チャべス革命入門』(澤田出版発行、民衆社発売、1700円)
あるいは、『市場対国家』(上巻)ダニエル・ヤ−ギン著日本経済新聞社刊
などどうでしょう。世界的な新自由主義登場の歴史的、社会的背景をルポしたものです。
このような史実、社会的政治的事件の調査によって、認識が豊富になれば新自由主義について理解していくのも容易くなると思います。

新自由主義は、ことに南米、そして中米で敗色濃厚ですし、ニュ-ジ−ランド・オーストラリアでもそうです。しかし、問題は、国際共産主義運動の総括・新しい社会運動の展開の中に位置付けることでしょう。
少し余計なことに入ってしまいました。とにかくも、ベネズエラでの新自由主義との戦いの経過を調べるだけでも面白いと思うのです。
そのうえで、田中さんの問題とされる「資本蓄積と階級権力の関係」の問題をお考えになったらどうでしょう。


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