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ソシュール『一般言語学第一回講義』発売

1:ソシュール『一般言語学第一回講義』発売
境 毅 03/20 21:50
心待ちにしていたソシュール第一回講義がエディット・パルクから出版されました。以下は出版社からの案内です。


       ◆出版の御案内◆
 この度、ソシュールの『一般言語学第一回講義』リードランジェによる講義録を刊行いたしました。『一般言語学第二回講義』リードランジェによる講義録(2006年刊行)、『一般言語学第三回講義』コンスタンタンによる講義録(2003年刊行)に続く刊行で、小松英輔編パ−ガモン版全三巻の翻訳がついに完結しまた。
ジュネ−ヴ大学でのソシュールの『一般言語学講義』の全容が日本語の読者にも明らかにされることになりました。
 『一般言語学第一回講義』は記号学の実践的展開で、なぜソシュールが第二回講義で記号学の中心として言語を置いたのかがよく理解されることでしょう。全三回の講義のテーマはすべて出揃い、しかも第二回講義でも第三回講義でも語られていなかった音声変化の原因、結果、あるいは影響について批判的に言及されていて、ソシュールが唯一の実在として認めた「話す主体の意識の裡にあるもの」、言語単位とは何かが身をもって捉えられるはずです。ソシュールはそれ以上の抽象化を望んだのでしょうか。望まなかったのでしょうか。ソシュール以後とはいったい何だったのでしょうか。

          ■目次■
1、はじめに 
●言語学と民族学●言語学と文献学●言語学と論理学●言語学と社会学●音韻論の原理
2、言語学の誤りの分析    
●音声的な異変●音声変化の区分●音声変化の原因●音声変化の結果、あるいは影響●類推的な変化●類推、言語創造の一般的な原理●内的分類●接頭辞●語根●類推の保守的な役割
3、インド・ヨーロッパ諸言語の家族の、内的及び外的歴史の概要
●諸語形の再建と出来事の再構成●再建の目的、その確実性●音節の消失の結果

 たった六人の学生を前に、こうして伝説の講義が始められました。付録として、小松英輔氏による『ソシュールの一般言語学―エングラ−版批判―』を収録致しました。「学生による講義ノートの射程ははるか遠くまで及び、失われた歴史を取り戻そうと、100年後の読者一人ひとりの判断を今や遅しと待ち続けている」
(訳者はじめに)。

ISBN978-4-901188-06-7 C1080 定価 3675円 (本体3500円+税)A5判 上製本320頁

エディット・パルク 


2:エングラー版の問題点
境 毅 04/02 11:22
ソシュール第一回講義録には付録として、原典の編集者である小松英輔氏による「エングラー版批判」が付いています。そこにはセシュエ・バイイが編集して出版した『一般言語学講義』に沿って学生の講義ノートを貼り付けたエングラー版では現実に行われた講義を再現できないことが明らかにされています。丸山圭三郎や前田英樹らの研究は、エングラー版に基づいてソシュールの講義を再現する試みであり、私がこのサイトに掲載した以前のソシュール研究も、丸山、前田の業績によったものでした。
今回すべての講義が翻訳されましたので、以前のソシュール研究も再検討することが必要となっています。とりあえずこの点のみお伝えしておきます。

3:ソシュールの自筆メモ
ebara 03/10 12:45
エディット・パルクから、ソシュール『一般言語学第三回講義』の増補改訂版が出版されました。初版が2003年に出版された本書の増補の特徴は、第三回講義のソシュール自身の講義メモが新たに翻訳されていることです。35頁にわたるこのメモが訳されたことは大変意義あることだと思います。2009年3月6日発行です。

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