。ヲ office-ebara
生産価格に関する試算

1:生産価格に関する試算
田中 02/11 18:18
現在アナリティカル・マルキシズム論争について検討しています。その過程で生産価格の問題にいきあたりました。論争には直接関係しないとおもわれますが、価値と生産価格の関連、いわゆる「転形」問題を自分なりに検討してみました。ヴェームバヴェルクにはじまる論争について詳しく知りませんので、私の解釈が正当かどうかを皆さんにご教示していただきたいと思います。 
 転化問題で論議されているのは、費用価格の計算に平均利潤率が反映されていないということだと解釈しました。そこでマルクス自身は具体的に展開していないこの問題を計算してみようというのがねらいです。
 ここでは3部門の商品を想定しました。1、2は生産手段、3は生活手段を生産しているものと想定します。生産された商品はすべて3部門相互で消費されるものとし、また生活手段は労働者がすべて消費するものとして計算しました。資本家には霞でも食べていただくことにします。あるいは資本家が消費するのはすべて外国産品として想定するとしましょう。資本家が消費するものと蓄積するものとの割合を換算して計算することは次の課題とします。結果的には総生産価値が増えるだけで、同様なものが得られると思いますが。
小数点は四捨五入します。 投下された全不変資本をC、生産物へと価値移転された部分をc、として表わしています。剰余価値率はマルクスと同様に全部門において100パーセントとします。

1. 80C+20v 50c+20v+20m=90 (60は2へ、30は3へ)
2. 60C+40v 50c+40v+40m=130 (80は1へ、50は3へ)
3. 80C+30v 30c+30v+30m=90 (20は1へ、40は2へ、30は3へ)
計 220C+90v=310, 総m=90 、平均利潤率=29%、生産された商品の総価値=310
 
 以上の計算から、マルクスが展開しているのと同様に、資本価値への平均利潤の影響を勘案することなく、生産価格を計算するとつぎのようになります。

1.投下総資本80C+20v 費用価格50c+20v=70、利潤29、生産価格99
2.投下総資本60C+40v  費用価格50c+40v=90、利潤29、生産価格119
3.投下総資本80C+30v  費用価格30c+30v=60、利潤29、生産価格89
計                                   総生産価格307
(総価値と総価格の3という相違はどうして生じたか、よくわかりません。この相違自体が論理破綻の証拠でしょうか)

 次に生産価格の成立を前提に費用価格にその影響を及ぼしてみます。生産価格へと転化した後も各部門への財の配分率は同様とします。なお可変資本部分の数値は四捨五入の結果変わりませんが、それは偶然の一致であり、比率計算を施したものです。

1.投下総資本73C+20v=93、 費用価格+剰余価値46c+20v+20m=86
2.投下総資本66C+40v=106、 費用価格+剰余価値55c+40v+40m=135
3.投下総資本81C+30v=111、費用価格+剰余価値30c+30v+30=90
計 社会的総資本310、総利潤90、平均利潤率29%、商品の総価値311

 さらにこの平均利潤率を適用して新たな生産価格を計算します。
1. 利潤93×0.29=27、生産価格66+27=93
2. 利潤106×0.29=31、生産価格95+31=127
3. 利潤111×0.29=32、生産価格60+32=92  
計                 総生産価格    312
 このように総価値と総生産価格とは計算の誤差の範囲内で同一です。マルクスの命題は証明されているように思うのですが、どうでしょうか。もっともこんなことは三巻初心者でもすぐ計算できることですから、専門家の方にはすでに反証が存在するかもしれません。無精者ですからそこまで調べませんでした。どなたかご教示ください。 


1-

BluesBB ©Sting_Band